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TikTokの買収協議 Microsoftの胸算用

大きなリスク

 大統領もバックアップする世紀の買収だが、リスクも大きい。財務面だけでなく買収後に失敗に終わる可能性もある。Microsoftには、買収した資産を生かせなかった過去がいくつもある。特に、Nokia、Skypeなどコンシューマー向け分野で失敗例が多いのは気になるところだ。

 The VergeはTikTokの地理的分断によるリスクを指摘する。Microsoftは米国など4カ国のTikTok事業を取得しようとしているが、「これまでソーシャルネットワークを地域で分割しようと試みたところはいない」と指摘。分割すると、インフラなどプラットフォームへの投資の点でも、オーディエンスの点でもスケールが出ずに「割高になる」とした。

 この見方は、Financial Timesが伝えた対象拡大の検討の可能性とも符合する。

 ほかに、市場の変化もありうる。TikTok禁止の動きを受け、ショートムービーのライバルたちは、猛然とユーザーの奪取に動いている。いざ手に入れた頃には、価格に合わない買い物になっているかもしれない。

 Microsoftにとって課題は多い。だが買収がうまくいけば、Nadella氏はクラウドカンパニーとしての成功に加え、コンシューマーやソーシャルでも成功の実績を得る。実際、Fortuneによると、Nadella氏は2019年に、コンシューマー技術で大きな動きに出ることを示唆していたという。

 Business Insiderは、Nadella体制下では、LinkedIn、GitHub、「MineCraft」のMojangなどは成功していると指摘。これら3事業はどれも独立した形で運営されており、TikTokの場合もそうなるだろうと予想する。