Infostand海外ITトピックス

コンテナプラットフォームで挑む HPEの「Ezmeral」

ライバルはTanzuとOpenShift

 ここでHPEの戦略を振り返ってみたい。HPEは2015年にPCのHPと、エンタープライズシステムのHPEとに分社した。2018年にHPEのCEOに就任したAntonio Neri氏は「エッジからクラウドまでのプラットフォームをサービスとして提供する」ことを戦略の柱に掲げている。

 同じころ、サーバー、ストレージなどハードウェアのベンダーとして競合関係にあったDellは、EMCを買収し、PCから大規模システムまでをそろえる巨大なベンダーとして再出発した。

 これに対し、HPEは分社後、サービスとアプリケーション事業のComputer Science Corporation(CSC)への売却や、ソフトウェア事業の分離とMicro Focusへの合体などを行い、事業の削ぎ落としを進めてきた。

 現在の製品ポートフォリオはサーバーなどのハードウェアと、それを従量課金で提供するための「HPE GreenLake」サービスブランド、そしてコンサル部隊(HPE Pointnext)とファイナンス部隊(HPE Financial Services)などで構成されている。Ezmeralは、ここに加わる。

 IDCのアナリスト、Matt Eastwood氏は「エッジからクラウドのプラットフォームをサービスで提供するというHPEの戦略において、プラットフォーム分野を明確にしたことは意義深い」とSDxCentralにコメントしている。

 さらに、「(もしEzmeralを持たなかった場合には)VMware、Red Hat、Nutanix、Google、MicrosoftなどパートナーのIP(知的所有権)に依存するしかない」と言う。例えばVMwareは「Tanzu」、Red Hatは「OpenShift」を提供している。

 Ezmeralを率いるHPEのCTO、Kumar Sreekanti氏は、CRNのインタビューで「(次世代コンテナの)“スイムレーン”(独自のコース)を自分たちで作る」と述べ、EzmeralをTanzuとOpenShiftに並ぶ存在に位置付けた。

 では、Ezmeralはどこで差別化しようとしているのだろう?