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ソーシャルコマースと破壊をもたらす? 「Facebook Shops」の登場

巨大市場でAmazonに挑む

 Facebook Shopsは出店無料で、決済システムの利用に課金する。欧州のマーケティング専門サイトThe Drumなどによると「Facebook Shopsのビジネスモデルは広告モデル」(CEOのMark Zuckerberg氏)という。コロナ禍で閉鎖を余儀なくされている中小小売店が、簡単にオンライン販売できるよう支援することで、ゆくゆくは広告収入の獲得につなげる考えだ。

 投資家ブログMotley Foolに投稿したライターのJeremy Bowman氏は「米国の電子商取引(EC)市場は6000億ドルという巨大市場だが、小売全体の11.8%にしか至っていない」と指摘。同市場は「大きいだけでなく、まだ、多くの成長余地が残っている」とみる。

 Facebookによると、米国の小規模企業の3社に1社が自社のWebサイトを持っておらず、また、小規模企業1億4000社がFacebookのユーザーだという。つまり、ビジネスの素地は既にあると言える。

 ソーシャルの巨人Facebookが小売業界に与える影響はどうだろう。

 ECの代表はAmazonだが、Wall Street Journalによると、新型コロナでAmazonすら旺盛な需要を満たせずにいる。また、WalmartやTargetなど既存大手小売業がリアルとオンラインの両方の売り上げを2ケタ成長させ、活況だ。

 同紙はAmazonのEC事業の総売上高が2412億ドルであることに触れ、「Facebookの売り上げの3倍以上の規模」とする。Amazonの後追いはFacebookの企業規模でさえ無謀に見えるかもしれないが、必ずしもそうではないという。

 その理由に、Amazonと他の小売業者との関係が必ずしも良好ではない点がある。ただFacebookの方も、過去に広告リーチデータを水増ししたとして広告主に訴えられたこともあり、強固な信頼関係があるとは言えない、とWall Street Journalは指摘する。だが、Facebookは、Amazonほど嫌われてもいない。

 Bernsteinのアナリストはサービスへの支払いを「デジタル経済への家賃」に例える。つまり「大家は嫌いだが、自分たちと競争しない大家の方がまし」というわけだ。

 多くの業界人が、FacebookとAmazonの対決に注目する一方で、Facebook Shopsのモデルは他のところにあるとの見方もある。