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ソーシャルコマースと破壊をもたらす? 「Facebook Shops」の登場

モデルは中国WeChat

 Facebookの動きは中国のインターネット大手と比較すべきだという。Rakuten Advertisingのアジア太平洋地域担当バイスプレジデント、Stuart McLennan氏の見解で、The Drumが紹介している。

 McLennan氏によると、中国のWeChatはアプリから直接ショッピングできる機能を既に導入。モバイル決済と連携させて、「購入プロセスをシームレスに維持している」という。実は、Zuckerberg氏もFacebook Shops発表の際、その目標を「ショッピングをシームレスにすること」と述べている。

 ここでのキーワードは「ソーシャルコマース」だ。「ソーシャル」と「コマース」を組み合わせるというアプローチで、ユーザーの好みやライフスタイルのデータを活用するというソーシャルサービスの得意分野だ。The Drumは「Amazonが提供できない“気づき”をFacebook Shopsは提供できる」と述べている。自分が買いたい物が分かっている人にAmazonは便利だが、FacebookやInstagramのソーシャルの中にあるショップでは、自分の好みに合う新しい製品を発見できるというのだ。

 Zuckerberg氏はFinancial Timesに、「(Facebook Shopsによって)小売業は、顧客とのやり取りと取り引きをより頻繁にし、ドロップオフ(購入に至らなかったカート落ち)は少なくなる」とソーシャルの強みを語っている。

 こうしたサービスは既にローンチしている。Instagramが2019年にスタートさせた「チェックアウト機能」(Instagramで見つけた商品を同サービス内で購入できる機能)は、小売業に人気だ。オーストラリアの広告業界メディアB&Tによると、Adidasは米国内のEC売上を40%増やしたが、これにはInstagramのチェックアウト機能の貢献が大きかったという。

 Facebookの日間アクティブユーザーは17億人。月間では26億人。小売業にとって魅力的なプラットフォームであることは間違いない。一方で、手を組めば顧客データはFacebookに流れることになる。B&Tは「これまでFacebookが業界を“支援する”と言ったとき、大抵は、彼らが業界の“破壊・変革(disrupt)”を加速することを意味している」として、同社が本格的な商取引プラットフォームになろうとしていると予想する。

 The DrumはFacebook Shopsを「少なくとも欧米では、ソーシャルコマース誕生に向けた初の本格的なステップだ」と評する。

 一大ソーシャルメディア帝国を構築したFacebookは、ソーシャルをコマースに融合できるのか、まだ誰も成功していない壮大な課題に挑む。