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需要増も利益薄いフードデリバリー業界 Uber Eatsの同業買収報道

再編の結果だが、批判の声も

 新型コロナがフードデリバリー業界の追い風になっているの確かだが、その再編は既に始まっていた。

 Amazon Restaurantsを展開していたAmazonが2019年に撤退。Grubhubは2019年10月、顧客数は増えたものの、売り上げも利益もマイナスに転落。Wall Street Journalは今年1月、Grubhubが売却も視野に入れ、財務アドバイザーとの話し合いを進めていると報じていた。

 Uber Eatsも米国外でシェアの低い地域を閉鎖するなど集中を進めており、今年に入ってサウジアラビア、ウクライナなどから撤退した。インドの事業も地元のZomatoに売却している。

 だが、Grubhubの買収がうまくいったとしても、フードデリバリーそのものへの風当たりは変わらない。

 下院反トラスト法(独禁法)小委員会議長のDavid Cicilline氏(民主党)はReutersに対して、「Uberは略奪的企業として知られており、長い間ドライバーの最低時給を否定してきた。Grubhubは詐欺的なやり方と法外な手数料で地元のレストランから搾取してきた歴史がある。UberのGrubhub買収は、パンデミックの中、暴利の新たな歴史となる」と述べ、厳しく批判する。

 レストラン業界も好意的ではない。「Grubhubなどの大手デリバリープラットフォームは、継続して徴収率をあげ、価値ある顧客データを管理し、高度なテクニックと割引をちらつかせる。そうやって顧客がレストランではなく自分たちのサイトに来るよう仕向けている」。ニューヨークのレストランなどが加入する業界団体the New York City Hospitality Allianceの執行ディレクター、Andrew Rigie氏は、Reutersにこう語っている。

 Uber EatsとGrubhubの合体が反トラスト法に抵触するかについて、Reutersは「取引は可能だろう。だが、レストラン業界は好まず、懸念を表明するだろう」との独禁法専門家の意見を紹介している。