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需要増も利益薄いフードデリバリー業界 Uber Eatsの同業買収報道

シェア争いで割引合戦

 Grubhubは2004年、レストランの持ち帰りメニューを集めたサイトとしてシカゴで創業。当初は、発注だけを受け、デリバリーは注文を受けたレストランが行うというモデルだった。

 その後2013年に、Webベースのレストラン向け受注サービスSeamlessWebを合併。翌年、業界の立ち上がりを受けてフードデリバリーサービスを開始。同年、IPOも果たした。その前後に、多くの企業を買収している。

 一方、Uber Eatsは2014年にスタート。ライドシェアリングで構築したドライバーと利用者のマッチングプラットフォームを応用し、レストランと配達員とを結びつけた事業だ。ライドシェアリング同様、“ギグエコノミー”の代名詞にもなっている。

 持ち帰りや配達サービスは古くからあるが、スマートフォンアプリでフードデリバリーに特化したものは比較的新しい。GrubhubとUber Eatsは、そのライバルだが、業界には、ほかにもDoorDash、Postmates、EatStreetなどがひしめいている。それぞれ利用者を増やすためにクーポンの発行や割引で取り込みを図っているが、利益はあまり出ていないという。

 D.A. Davidsonのアナリスト、Tom White氏は「以前から、オンラインフードデリバー業界の統合は不可避だと考えている」とNew York Timesに語っている。「同じようなビジネスモデルを持つ多くの企業が激しい戦いを繰り広げており、収益性を圧迫している」というのだ。

 Reutersが引用したSecond Measureのデータ(2020年3月時点)では、ソフトバンクの支援を受けるDoorDashが急成長して米国シェア42%。2位が、以前の50%超から28%に後退したGrubhub。以下、Uber Eats20%、Postmates10%程度という状態だ。

 Uber EatsとGrubhubが一緒になれば、シェア48%のトップとなる計算だ。投資アドバイザーJ-Curve AdvisorsのJesse Reyes氏は「勝てない相手なら、吸収してしまうしかない」とReutersにコメントしている。