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“アフターコロナ”見据え Alibabaがクラウドに282億ドル投資

 世界が新型コロナ(COVID-19)で苦しむ中、中国では経済回復への期待が高まっている。これを象徴するように、同国のクラウド最大手Alibaba Cloudが、クラウドインフラに3年間で200億人民元(約282億ドル)を投資すると発表した。年間1兆円ペースの超大型で、“アフターコロナ”に向け布石を打つ動きと言えそうだ。

「新型コロナ後のDXをサポートする」

 Alibabaの4月20日の発表によると、200億人民元の資金は、チップなど半導体とオペレーティングシステムの開発、データセンターのインフラに投入する計画だ。同社は、これらを通じて中国企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速をサポートするという。

 Alibaba Cloudは、ECで知られるAlibaba Groupのクラウド事業で、中国のクラウドインフラ市場で約46%(Canalys調査)を占める最大手。世界でも上位5位に入る。中国でビジネスを行う国外企業を支援するサービスであるChina Gatewayなどを提供しているほか、国外にも積極的に展開している。

 そのAlibabaとしても280億ドルの投資は大きい。2019年の中国のクラウドインフラ市場規模は約132億ドル規模で、うちAlibaba Cloudは約52億ドルとされる。Alibaba Cloud IntelligenceのプレジデントでAlibaba GroupのCTO(最高技術責任者)でもあるJeff Zhang氏は「クラウドインフラと基盤技術にさらに投資することで、世界レベルの信頼できるコンピューティングリソースを継続して提供する」と説明している。

 そして、今回の投資は新型コロナに対する反応でもある。「回復期の企業の加速を支援し、クラウドベースのインテリジェントなソリューション、パンデミック後のデジタルトランスフォーメーションを支えるソリューションを提供する」(Zhang氏)という。

 欧米に比べ、中国の新型コロナからの立ち直りは早いとみられている。IMF(国際通貨基金)が14日に発表した2020年の世界経済見通しでも、欧米が大幅な景気後退に入り、世界でもマイナス3%の経済縮小となる中、中国は1.2%のプラス成長を維持するという。