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AppleとGoogleの「接触追跡」が始動 感染拡大をどう食い止めるのか?

 収束への道が見えない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に、テクノロジー企業の戦いが続いている。AppleとGoogleは、感染拡大に歯止めをかけるため、両社のスマートフォンOSで、「接触追跡」(contact tracing)と呼ばれる手法による取り組みを発表した。未曾有の脅威へのテクノロジー業界の模索だ。

Bluetoothで濃厚接触歴を記録

 iOSとAndroidの2大OSで長く争ってきたAppleとGoogleが、スマートフォンを活用した新型コロナ対策に乗り出した。4月10日に発表した共同プロジェクトでは、接触追跡を可能にするフレームワークを開発する。これによって、濃厚接触の記録を過去にさかって追跡し、感染した可能性のあるユーザーに警告する。

 新型コロナは潜伏期間が長く、発症前の感染者が気づかないまま人にうつすケースが多いと考えられる。このことが封じ込めを難しくしている。だが無症状の段階で感染した可能性をいち早く知ることができれば、拡大を抑えられるはずだ。

 具体的には、アプリユーザーが他の人と一定距離内に一定時間以上いる(濃厚接触にあたる)と、ユーザーのスマホが、近距離通信のBluetooth経由のビーコンでID識別子を送り合う。ユーザーは、もし新型コロナ検査で陽性になったら自分のアプリから報告する。この情報を受けて、過去14日間に接触した他のユーザーに通知が行く。連絡を受けたユーザーは自己隔離や検査のきっかけにできる。

 こうした接触追跡の新型コロナ対策は、初めてではない。シンガポール政府は3月下旬から「Trace Together」というアプリの配布を開始した。Apple/Googleのものと同様にBluetoothを利用してアプリ同士が固有のIDを交換。感染者が出た場合、接触した人に政府の担当者が連絡する仕組みだ。日本政府が採用を計画しているのも、このアプリをベースにしている。

 AppleとGoogleのフレームワークは、この対策を一気に世界に広げる可能性がある。IDCによるとAndroidのシェアは86.6%、iOSは13.4%。両社で世界のスマートフォンのほぼ全てをカバーできる。スマートフォンの所有者は世界で30億人と言われている。