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Salesforceはどこへ行くのか 共同CEOのBlock氏退任とVlocity買収

身売りの観測は後退

 2015年、Bloombergが「Salesforceが身売りの可能性を検討している」と報じてから、Salesforce買収のうわさは何度も浮上している。憶測ながら名前の挙がった企業は、SAP、Oracle、IBM、Microsoftなど数多い。SalesforceのCRMでの強さと成長力は、トップ企業にとっても大きな魅力だ。

 直近は今年1月上旬。RBC Capital Marketsがレポートで、「GoogleがSalesforceを買収すれば、2023年までに第2位のクラウドプレーヤーになれる」と報告して、再燃した。

 Business Insiderはこの話に強い関心を持っており、継続的に報じている。Google Cloudは1年前、CEO就任にしたThomas Kurian氏が「5年間で、少なくともクラウドで第2位のポジションに就く」ことを目標として掲げている。Salesforce買収は、その実現にぴったりのアイデアだという。

 もちろん、Salesforce側も、Googleもノーコメントを貫いていて、具体的な動きは出ていない。もっとも意向を持っていたとしても、評価額1600億ドル超の大企業の買収はGoogleとて容易ではない。そこへSalesforceがVlocityを取り込めば、買収のハードルはさらに高くなる。

 Constellation ResearchのアナリストRay Wang氏は、「(Vlocity買収は)素晴らしい取り引きだ。SalesforceはVlocityに必要なプラットフォームを提供する。さらに重要なのは、Googleの買収を防ぎ、続く4年間で100億ドルの追加売上を生み出しうるということだ」とTechCrunchにコメントしている。

 一方、Google Cloudにとっては、AWSとMicrosoftに並び、追い越す道が一つ閉ざされるとも言えるだろう――。

 Block氏に話を戻すと、RBC Capital Marketsが新しいレポートで、同氏の「次の章」かもしれない企業の名を挙げている。

 WorkDay、Oracle、AWSの3社で、中でも人事システムクラウドのWorkDayが最も可能性が高いとしている。「WorkDayはSalesforceに対して補完的な製品を持つほか、Block氏が7年前にSalesforceに参加した時と多くの点で似通った状況にある」というのがその理由だ。