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「インド生まれで技術者」次期CEOに期待するIBM

その人物像、“IBMのSatya Nadella”になれるか

 Krishna氏への好評価の背景には、そのプロフィールがある。Rometty氏はじめ過去3代のCEOがセールスなど非技術部門の出身だったのに対し、Krishna氏はデータストレージ・管理など技術畑でキャリアを積んできた。責任の範囲はIBM Researchにも及ぶ。

 実は、同じようなステップを踏んだのが、MicrosoftのCEO、Satya Nadella氏だ。インドから米国へ、そしてCEOに就任する前までクラウド事業を見ていたという部分が共通している。そのため、Nadella氏がMicrosoftをクラウドカンパニーに再生したように、Krishna氏がIBMをクラウド企業に導いてゆくとの期待が高まっている。

 Bernsteinのアナリスト、Toni Sacconaghi氏は「業界の構造的な圧力とクラウドの重要性を考慮し、IBMは技術者のCEOが重要だと考えたのだろう」とレポートで述べ、「われわれも、IBMの見解に同意する」と続けている。

 Gartnerのクラウド担当アナリスト、Craig Lowery氏も、Krishna氏をトップに据えたことでIBMはクラウド分野に本気を入れるだろう、とFortuneに語っている。

 人物評も高い。Krishna氏をよく知るインド経営大学院バンガロール校教授のRishikesha Krishnan氏は、「Krishnaは、Nadella氏のように穏やかだが深く、確固としながら攻撃的ではないリーダーになるだろう」とBloombergに語っている。2人はIITKでともに学んだ仲だ。

 ソフトで気さくな物腰がIBMの新タイプのリーダーになるとも言われる。Krishna氏がインドに帰郷した際、IBMのカフェテリアで、話しかけてくる従業員誰とでも、何時間も話している姿を目撃されているという。