Infostand海外ITトピックス

「インド生まれで技術者」次期CEOに期待するIBM

Red Hat買収の立役者を市場は歓迎

 IBMは、340億ドルという同社史上最大規模の買収で、ハイブリッドクラウド戦略を明確に打ち出した。このことはレガシー顧客のクラウドへの移行が進むとの期待感をもって受け止められた。ハイブリッドクラウド事業は現在210億ドルのビジネスに成長したという。

 そのRed Hat買収に向けて重要な役割を果たしたのが、新CEOになるKrishna氏だ。Red Hatの買収完了後もIBMとの統合をリードしてきたという。

 ではKrishna氏とはどんな人物なのだろう。経歴は、インド生まれで、インド工科大カンプール校(IITK)で学んだ後、米国に渡り、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で修士号を取得している。その後1990年にIBM入社、2015年にシニアバイスプレジデントとなって表舞台に登場。そして2017年にはクラウドコンピューティングを率いる立場となった。

 Bloombergは、2017年のIBM社内のエピソードを紹介する。当時IBMは業績低迷の真っ只中にあった。Krishna氏が60~70人のIBM幹部を前に、早期段階にあるハイブリッドクラウド製品のライブデモを行ったところ、幹部から絶賛された。その技術は3カ月後に製品化され、Rometty氏はこれを称えたという。

 Krishna氏のCEO指名はメディアも好意的に伝えている。Wolfe ResearchのアナリストSteve Milunovich氏が「心地よい驚き」(Barron's)と言えば、Wedbush SecuritiesのDan Ives氏は、これまでKrishna氏がかかわったプロジェクトが成功していることに触れながら「正しい人選」(Fortune)とする。

 市場も好意的で、CEO交代発表を受け、同社の株価は5%上昇した。