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IT運用にAIを活用 2020年の注目キーワード「AIOps」

 「AIOps(Artificial intelligence for IT Operations)」に向けた動きが活発化している。ビッグデータに機械学習や視覚化を組み合わせて、IT業務・運用を自動化、改善する手法で、Gartnerが提唱したものだ。この分野で大手のServiceNowが専業ベンダーを買収。VMwareもネットワーク分析のAIOpsベンダーNyansaの買収を発表した。AIOpsへの話題が盛り上がる一方で、“真のAI”であるかにも注意を向けるべきだとの指摘もある。

AIOpsベンチャーの獲得が活発

 1月最終週はServiceNowの話題が目立った。クラウドベースのITチケットサービスから分野を拡大してきた同社は、業務プロセスを簡素化、自動化する「Now Platform」を中核製品として展開。昨年、SAPの前CEO、Bill McDermott氏をトップに迎え、いよいよ大企業に切り込もうとしている。そして決算発表に合わせて発表したのが、Loom Systemsの買収だ。

 Loom Systemsは2015年創業のイスラエルベースのAIOpsベンチャーで、総額1600万ドルを調達している。主力製品「Sophie」では、ITのインシデントを検出し、顧客に影響が出る前に解決できるという。ServiceNowはITサービス管理(ITSM)とITオペレーション管理(ITOM)でLoomの技術を利用し、オペレーションやサービスの管理の効率化、自動化を強化すると説明している。

 Loom買収発表の前日1月21日には、VMwareがNyansaの買収を発表した。Nyansaは「エンタープライズエッジ向けのAIOps」として単一のプラットフォーム上でパフォーマンスの分析とIoTセキュリティを管理できる技術を開発している。Tesla、Uber、サンフランシスコ国際空港などを数千社の顧客のサイトにある2000万以上のクライアントネットワークより、ネットワークトラフィックを解析するという。

 VMwareはNyansaの技術を自社の仮想WANネットワーク「SD-WAN by VeloCloud」に利用し、ネットワークの可視化などを強化するとしている。

 1月末には、Ciscoが自社のIT管理インフラ「Intersight」で、傘下のAppDynamicsのAIOpsツールの統合を強化すると発表した。AppDynamicsは、Ciscoが2017年に37億ドルで買収したアプリケーション性能のモニタリングツールのベンダーだ。また、少しさかのぼると昨秋、ログ分析のSplunkがモニタリングツールのSignalFXを買収している。