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データセンター向け市場に挑戦 AppleとGoogleのチップ技術者が結集した「Nuvia」

 性能と電力効率に優れたシリコン設計を再定義する――。新しいチップベンダーが産声をあげた。その名前はNuviaという。Apple、Googleでチップ設計に携わった3人が立ち上げたベンチャー企業で、著名なシリコンバレーのベンチャーキャピタルから計5300万ドルのシリーズA調達に成功した。狙うのはデータセンター向けのプロセッサだ。

Google、Appleのチップ設計者3人が創業

 11月15日に資金調達を発表するまで、Nuviaという名前はほとんど知られていなかった。同社の創業は2019年前半だが、ステルスモードで活動していたため、その存在が報じられることはなかったのだ。

 Nuviaは自身を「最先端のシリコン設計企業」と名乗り、「業界をリードする性能とエネルギー効率をデータセンターにもたらすため、シリコン設計を再定義することを目指して創業した」と説明している。同社に投資したのは、Capricorn Investment Group、Dell Technologies Capital(DTC)、Mayfield、WRVI Capitalなどそうそうたるベンチャーキャピタルだ。

 技術ベンチャーには珍しくないが、Nuviaには、まだ製品が何もない。それでもシリコンバレー古参のMayfieldや、Dell Technologiesの投資部門であり多数のエグジットを出しているDTC、またTeslaに投資しているCapricornなどのベンチャーキャピタルを引き寄せることができたのは、ほかでもない、創業メンバーのバリューだ。

 CEOを務めるGerard Williams 3世は、10年近くAppleで最高CPUアーキテクトを務め、その前はARMフェローとして約10年の経験を持つ。シリコンエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのManu Gulati氏は、Googleでコンシューマーハードウェア向けのSoCアーキテクトを務め、その前はAppleでトップSoCアーキテクトとして勤務した。そして、システムエンジニア担当シニアバイスプレジデントのJohn Bruno氏も、やはりGoogleでシステムアーキテクトとして経験を積んだ。

 プレスリリースによると、3人で合わせて20種類以上のチップの設計にかかわり、取得した特許は100件を超えるという。