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データセンター向け市場に挑戦 AppleとGoogleのチップ技術者が結集した「Nuvia」

モバイルの経験をデータセンターに

 Nuviaの資金調達のニュースは、Reuters、EE Timesなどが伝えている。やはり3人の創業者のバックグラウンドがあってのことだろう。Moor Insights & StrategyのCEOで、著名なアナリストであるPatrick Moorhead氏は「自分は通常、シリコン関連のスタートアップを取り上げないが、Nuviaは例外だ。この企業はとてもユニークだと思うからだ」として、Forbesに長い寄稿をした。タイトルでは「It Looks Provocative」(挑発的に見える)」としている。

 半面、同社で明らかになっている事は少ない。NuviaのWebサイトでは背景として、データ爆発と処理のニーズに触れ、「次のコンピューティング世代に必要な性能とエネルギー効率を実現する新しいクラスのプロセッサを作る」と記しているに過ぎない。

 EE Timesは、「Nuviaが設計中のサーバーコアについては“最初から設計した”という以外、詳細を公開していない」と指摘する。コア設計の手法には、アーキテクチャの最適化、メモリとのやり取り、インターコネクトの最適化などがある。だが、同社のマーケティング担当バイスプレジデント、Jon Carvill氏は説明を避け、「性能の目標を言うだけで、明らかになりすぎる」と述べたという。

 EE Timesはこうしたことから、ムーアの法則に従って世代ごとに予測可能な進化をとげてきたコアに、「ステップ関数的な向上(step-function advance)」(Carvill氏の言葉)をもたらし、一気に先に進もうとしているのかもしれない、と読み解く。またSilicon Angleは、Nuviaの求人情報から、「Nuviaは、複数種類の回路で構成されるSoCの形でCPU技術を提供しようとしているようだ」と予想している。

 そして各メディアが注目しているのが、そのターゲット市場だ。

 「面白いのは、3人の創業者はモバイルチップセットで経験を積んでいるのに、データセンターにフォーカスしている点だ」とTech Crunchは言う。消費電力に優れた方法を見出すというNuviaの目的には、機械学習ワークフローや処理能力を必要とする処理がコスト増を招いている状況に対応しようとしている、とみる。

 Moorhead氏も「iPhoneのように小型でバッテリー駆動のデバイスで学んだことを、大規模で電力を消耗するデータセンターサーバーに応用しようとしている」と指摘。彼らなら他のデータセンタースタートアップが苦労した壁を超えられるかもしれないと期待する。「このチームは、SoCの中に“ビッグコア”を設計・提供する方法を知っているのだと思う」と述べている。