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政府クラウドの本格化にらむ インドでのグローバルベンダーたち

 インドのデジタル化の勢いは世界トップクラスだ。IT業界団体NASSCOMのレポートによると、クラウド市場規模も年平均30%超で成長し、2020年には約71億ドルに達するという。さらに人口が10年以内に中国を抜いて世界一になると予想されるなど潜在性は極めて大きい。そのインドで、公共部門クラウドを巡るベンダーたちの動きが活発になっている。

公共部門クラウドに攻勢

 AWSは9月6日、首都ニューデリーでイベント「Public Sector Summit in India」を開催した。その名の通り、公共部門にクラウドを売り込むものだ。AWSのWorldwide Public Sectorが米欧や日本など世界各地で毎年開いているが、インドでは初めての開催となった。

 公共部門クラウドは世界的なトレンドだ。世界の「政府クラウド」市場は、調査会社Industry Reportsの予想によると、2019年から2024年まで年平均18.74%の高ペースで成長するという。NGOなどを合わせた公共部門の市場規模はさらに大きい。クラウドベンダーには超重要分野だ。

 Modi政権は「デジタルインディア計画」を掲げ、公共サービスのデジタルインフラ、電子行政サービスなどの整備を進めてきた。AWSはベンダーとして既にその一角に食い込んでおり、さらに拡大を狙っている。

 イベントでは、同計画下で農村地域にデジタルサービス拠点を提供している「CSC(common service centre)」、ITを活用したスマートシティを国内100都市に整備する「Smart Cities Mission」、人材開発の「Skill India」などの政府イニシアチブでのAWSの共働事例が紹介された。既に相当数がAWSの本番環境で動いているという。

 イベントではAWS Worldwide Public Sector担当バイスプレジデントのTeresa Carlson氏が基調講演した。同部門はCarlson氏が2010年に設立。世界で5000を超える政府機関を顧客に持ち、米国防総省が進めているクラウド計画「JEDI」も担当している。

 Carlson氏は、政府契約業界で最も影響力のある幹部に与えられる賞「Wash100」を連続5回受賞している著名ビジネスパーソンだが、世界を飛び回る中でインドへのコミットが増えている。

 この動きには、インドの個人データ保護およびデータ流通関連の法制化が大詰めの段階に来ているとの背景があるようだ。