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政府クラウドの本格化にらむ インドでのグローバルベンダーたち

個人データ保護法制定が大詰めへ

 インドは、包括的なデータ保護法の準備を進めており、昨年7月、「The Personal Data Protection Bill(個人データ・プライバシー法案)」の素案が作成された。データを扱う企業に対し、全ての個人データのコピーをインド国内に保管する義務や、最大でグローバル売上高の4%の反則金を課すといった内容が盛り込まれている。

 これに対して、グローバル企業はコスト上昇になるとして強く反対しているが、政府は国の「データ主権」は絶対であるとして、法制化への手続きを進めている。

 今年2月には、データを経済発展に活用するためのeコマース政策の草案(Draft National e-Commerce Policy)が公開されるなど、関連規定の整備も進んできた。Economic Timesなどによると、データ保護法案は今冬の国会に提出される予定という。

 AWSの動きもこの流れに沿ったものだ。CRM Indiaは「政府部門はこれまでクラウド化をためらっていたが、最近発表になったローカルデータのポリシーや法案、セキュリティ・コンプライアンスを受けて、非ミッションクリティカルなワークロードからクラウド移行を始めている」と解説している。

 AWSは2016年にインドでのクラウドビジネスを開始。ムンバイ(ボンベイ)にアジア太平洋リージョン・オフィスを置き、インフラの拡充を進めている。今年5月、ムンバイで3番目のアベイラビリティゾーンを開設した。現在、アベイラビリティゾーンはインド全土に17ポイントある。データの国内保管、サービス提供では多くの他の国外ベンダーより有利で、データ保護法はむしろ差別化のポイントになりうる。

 Public Sector Summitでも「AWSは顧客が選択しない限り、どこへもデータをコピーあるいは移動することはない。顧客は自らのデータを完全にコントロールできる」(Worldwide Public SectorカントリーディレクターのRahul Sharma氏)とデータ保護法にも完全対応することを強調していた。