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VMwareのPivotal買収 マルチクラウドに向け開発者重視へ

買収続けるVMwareの狙い

 VMwareはPivotal買収の正式発表と同時に、Carbon Blackというセキュリティ企業の買収も発表している。こちらの買収額は21億ドルだ。

 Gartnerのアナリスト、Craig Lowery氏は、2つの買収の共通項を“開発者”と分析する。「VMwareは開発者からの信頼性を強化する」チャンスを求めており、Carbon Blackは開発者が自社ソフトウェアにクラウドセキュリティをもたらすのを支援できる、とBusiness Insiderにコメントしている。

 なぜ開発者か? それは開発者がアプリケーションなど企業のIT意思決定に及ぼす影響が大きくなっているからだという。このことは、MicrosoftのGitHub買収などの動きにも通じるものだとLowery氏は言う。

 創業21年を迎えるVMwareの戦略の変化を分析したSiliconAngleは、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)を獲得した「Nicira買収」(2012年)。驚きをもって迎えられた「AWSとの提携」(2016年)、「VMware Cloud on AWS」(2018年)など、これまでの巧妙な生き残り策を賞賛する。

 そして今回は“アキレス腱”となっていた「アプリケーション構築支援との関係」に動いたものだと評価する。また開発関連分野では、さらなる買収もあるとみる。

 VMwareは仮想化ソフトウェアでスタートし、マルチクラウドへと時代に合わせて戦略を変化させてきた。

 SiliconAngleが指摘するように、そのための一つの手法が買収だ。VMwareは過去数カ月の中でも、5億5000万ドルを投じたHeptio(2018年12月)、Bitnami(2019年5月)、Uhana(同7月)、そして今月にも、Veriflow、Intrinsicと買収合意を取り付けている。

 VMwareの一連の発表は、年次イベント「VMworld」の直前となった。最新の決算(2019年第2四半期)では、売上高は前年同期比12%増の24億4000万ドルと順調に伸びている。話題的にも申し分ないタイミングだろう。