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VMwareのPivotal買収 マルチクラウドに向け開発者重視へ

Kubernetesとの関係

 「こうした形で終わるはずではなかった」。投資ブログのLipper Alpha Insightは、Seeking Alphaへの投稿で、VMwareのPivotal買収への動きを、こう解説した。

 Pivotalは2018年4月にIPOしたばかりだ。だがここ数カ月の株価は振るわず、公開時の3分の2程度の水準を推移していた。ちなみに買収額の1株15ドルはIPO時の公募価格と同じだった。同社の思惑では、株式公開で得た資金を元に自社戦略を進めてクラウドソフトウェアのためのツールを開発するはずだったという。

 Pivotalが提供するクラウドネイティブ開発プラットフォームが将来の技術であることは間違いなかったが、コンテナブームとKubernetesの登場で流れが変わった。Google由来のKubernetesは、Amazon、Microsoftなど主要クラウド事業者や業界の支持を得て一大勢力となった。結果として、PivotalはKubernetesに押された格好となった。VMwareもKubernetesを支持する中の一社だ。

 「PaaSとKaaS(Kubernetes-as-a-Services)と2つの陣営に分かれてはいる。だが、PivotalとVMwareの関係、そして製品を見ると、PaaSとKubernetesの間の境界がぼやけつつある」。PivotalとVMwareのパートナー企業で、PaaSとKubernetesの両方を扱っているSolsticeはCRNにこう答えている。

 実際、PivotalはKubernetes環境「Pivotal Container Service(PKS)」を持っているが、これはVMwareと共同開発した製品だ。またCloud Foundryプラットフォームの「Pivotal Application Service(PAS)」では、独自のコンテナランタイム技術「Diego」に代わる技術をKubernetesベースで再構築している。

 VMwareとPivotalが一緒になることでPivotal Cloud FoundryとPKSとの連携が進み、両製品のリーチは大きく拡大する、とLipper Alpha Insightは予想する。Solsticeの担当者はVMwareの顧客の多くが、いまだにクラウドネイティブではない点を指摘。VMwareがPaaSとKaaSを持つことで顧客のデジタル変革のパートナーになれるだろうと述べている。