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AT&Tの大型提携 5Gはクラウド事業者のチャンス

2つの提携の違い

 AT&Tは前日の7月16日にIBMとの提携も発表している。AT&T Communicationsの法人事業であるAT&T Business Solutionsの内部ソフトウェアのモダン化が目的で、IBM Cloudへのマイグレーションを含むものだ。

 「IBMはAT&T Businessのオペレーション系アプリケーションの主要な開発者とクラウドプロバイダーとなり、AT&T CommunicationsのITインフラのオンプレミス、オフプレミスをパブリックとプライベートの両クラウド管理を支援する」とプレスリリースは説明している。

 提携の下、IBMはAT&T Businessのアプリケーションをサポートするためのインフラも供給するが、ここでは主としてIBMが買収を完了したばかりのRed Hatのオープンソース技術が中心となるとしている。

 AT&Tは2日続けてクラウド関連の大型発表を行ったわけだが、その内容には違いがあるようだ。両契約を取り上げたMotley Foolは、Microsoftの「大きな勝利」とする一方で、IBMについては「不明瞭な提携」と表現した。

 その根拠として、(1)(Microsoftとの提携にあった)「優先」という言葉がない、(2)AT&Tは以前からRed Hat製品を使っている、(3)IBMはAT&Tとネットワーク関連で既に同じような提携をしている――の3点を挙げている。

 Motley Foolは「IBMは古いニュースに新しい進展を加えて盛り上げ“戦略的提携”という言葉でバンドルしたに過ぎない」と評する。なお、IBMの広報担当はReutersに対し、AT&Tとの提携は「数十億ドル規模」であると認めている。

 他方、Microsoftについては、AT&Tの「優先」クラウドプロバイダーであることに注目。AT&Tのリソースを使っての中核事業へのフォーカス、従業員の作業の合理化、コスト削減などのメリット、AT&Tの5Gネットワーク上でのエッジコンピューティングの構築、などが明記されており、「Microsoftのクラウド事業にとって大きな勝利だ」とする。

 Microsoftのクラウド事業は好調だ。7月18日に発表した2019年4~6月期(会計年2019年第4四半期)決算では、「Microsoft Azure」を含むインテリジェント・クラウド事業部は前年同期比19%増の113億9000万ドルを売り上げた。Azureは前年同期比64%増を記録している。

 AzureとOffice 365などのSaaSは「中核となる成長エンジンであり、AT&Tのような大企業顧客に2つをバンドルして提供することは長期的に追い風になる」とThe Motley Foolは解説している。