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AIブームの影の部分で ホワイトカラー非正規労働者

 Googleの社員は豪華な福利厚生や高給で知られ、「Googler」と羨望を込めて呼ばれる。しかし、同社にはフルタイムの正社員だけではなく、多くの非正規や下請けの労働者もいる。この「Shadow Work Force」(影の労働力)とも呼ばれる人たちに、New York TimesやGuardianが相次いでスポットを当てた。AIが実現する華々しい成果に世間の注目は集まるが、それは低待遇の不安定な労働者に支えられているという。

正社員を上回る非正規労働者

 5月28日付のNew York Timesは、上司のセクハラを会社に報告しようとして解雇された派遣社員の女性を中心にGoogleの非正規社員の状況を伝えている。同紙が入手した内部文書によると、Googleには今年3月現在、世界で約12万1000人の臨時・契約従業員がおり、フルタイム社員の10万2000人を上回っている。こうした従業員は通常、人材派遣業者を通して採用する。

 非正規従業員はGoogleだけでなく、シリコンバレーでは一般的だという。パロアルトの人材派遣会社OnContractingは、ほとんどのテクノロジー企業で派遣社員の比率は40~50%に上るとNew York Timesに語っている。フルタイム正社員を雇うのに比べ、年間10万ドルを節約できるためだという。

 New York Timesの取材では、Googleの臨時雇用および派遣の従業員活用は、本のデジタル化プロジェクト「Google Books Library Project」のスキャン業務などで始まった。現在、コンテンツの管理からソフトウェアのテストまで、広範な業務に広がっている。その時給は、初級レベルであるコンテンツレビュー担当者の16ドル(カリフォルニア州の最低時給は15ドル)から、高度なソフトウェア開発者の125ドルまで幅があるという。

 こうした非正規従業員(臨時雇い、下請、派遣・契約社員を合わせて「TVCs=temps, vendors and contractors」とも呼ばれる)の仕事は高度な分野にも広がっている。

 英Guardianは、GoogleのAI関連プロジェクト「Pygmalion」で働く非正規の従業員・元従業員に取材し、その内情を探っている。