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Alibaba Cloudが急成長 グループには香港市場でダブル上場の動き

中国発で差別化

 Alibaba Cloudは中国外への展開を積極的に進めている。コーポレートWebサイトによると、Alibaba Cloudは19リージョンで計56のアベイラビリティゾーンを持っている。このうち中国以外は、東京、シンガポール、オーストラリア、マレーシアなどアジア、米国に2ゾーン、ドイツと英国の欧州、ドバイなど中東にもある。

 さらに世界をカバーする動きも続く。Alibaba Cloudは5月17日、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域で新たなエコシステムパートナーの拡大を行うと発表。さらに、5月29日には、XinhuaNet(新華社通信オンライン版)が同社のブラジル進出を報じている。

 Alibaba Cloudの急成長を取り上げた昨年11月のCNBCの記事では「Alibabaは途方もない比率でクラウドサービスに投資している」(CCS Insightのアナリスト、Martin Garner氏)との解説も紹介されている。

 その差別化の1つが、「中国発」という点だ。Alibabaは中国外の企業向けに中国におけるビジネス展開を支援する「China Gateway Program」を持っている。これを既に提供している日本などに加えて、5月末にはシンガポールにも拡大した。

 機能面の強化も進めている。暗号化キーを自社で管理できる「BYOK」(Bring Your Own Key)を中国外でも提供するほか、ログを収集できる「Alibaba Log Service」なども発表。Googleにならうかっこうで、AIチップの開発も明らかにしている。

 このようなAlibaba Cloudが、AmazonにおけるAWSのような存在になってゆく可能性は十分ありそうだ。現在Alibaba Group全体に占めるクラウド事業の比率は7%で、前年の5%から拡大している。Bloombergは、Alibabaの中でもクラウド事業の比率が高まり、主要な柱または成長事業になっているとみる。