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AppleとQualcommが一転和解 勝者と敗者は?

Intelの5Gモデム市場撤退

 突然とも見える和解は、5Gという大きな波の中で決まったものだ。

 5Gサービスの商用サービスが米国など一部の国・地域で始まり、スマートフォンもSamsung、Huawei、LG、Xiaomiなどのメーカーが発表している。そんな中でAppleは、5G対応iPhoneの投入時期にはひたすら口をつぐんできた。

 Appleのノーコメントは珍しくないが、iPhoneの売り上げが振るわず、Huaweiに2位の座を奪われた中では、より悪影響をもたらしかねない。5Gに言及できない理由は明らかで、現在Appleがモデムチップを調達しているIntelの5G対応モデムチップの開発の遅れのためだった。

 携帯電話の黎明期からCDMAで無線通信技術をリードしてきたQualcommと比べ、Intelは後発だ。その差はすぐに埋まるものではない。Intelは、苦戦していたことを裏付けるように、和解発表の同じ日に5Gモデム市場からの撤退を発表している。撤退と言えばIntelの負けのように見えるが、アナリストやメディアはその決断を評価している。

 MarketWatchに寄稿したFuturum Researchの主席アナリストDaniel
Newman氏は「IntelはAppleが望む5Gチップセットを届けることに苦労していた」と解説。2021年までiPhoneの5G対応は実現しないのではという見方もあり、「その場合、Apple、そしてIntelにとっても体裁が悪いことになる」、このため、早い段階での決断は「一見悪いことのように見えるが、実は良いことだった」と表現した。

 実際、発表の翌4月17日には、Intelの株価は4%上昇した。前日のQualcommの株価の23%高には及ばないものの、市場が好感したことがわかる。