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“ポストiPhone”探るApple サブスクリプション一挙発表

オリジナルコンテンツ戦略で成功するか

 セレブを招いての発表会は話題性たっぷりだったが、消化不良感も否めない。料金や提供地域などの詳細が明らかになっていないし、内容も不明点が多い。The Vergeは「なぜこの段階で発表会をしたのか?」をテーマにAppleの事情に切り込んでいる。

 曰く「その後にローンチする製品に向けて話題を作っておきたかった」「以前から憶測があるプロジェクトについてはっきりさせたかった」「Apple TV+やApple Cardなどの製品は開始前にマーケティングが必要」といったことを挙げながら、「Appleは技術とカルチャーに大きな影響力を持っており、それが何なのか、何ができるのかについての物語を伝えたかったのだろう」と読み解いている。

 オンラインビデオ業界専門サイトのTubefilterは辛口の評価で、「Appleの動画サービスがAmazonの50億ドルのライブラリに追いつくのはだいぶ先だろう」とする。イベントには豪華なゲストが並んだものの、実際の動画が何もなかったとも指摘。以前の報道では最初の動画がそろそろ完成するはずだったが、「登場は秋に延期となり、本数も一部になりそうだ」と予想する。

 ストリーミング動画は、Apple、さらにはDisneyなども参入する動きを見せている過密市場だ。そこで差別化の決め手としてオリジナルコンテンツへの期待がかかるが、Seeking AlphaのコントリビューターBluesea Research氏は、「Amazon優位」を予測する。

 それによると、オリジナルコンテンツ戦略は一朝一夕に成果が出るものではなく、Amazonは数年前からの取り組みが実を結びつつあるという。確かに現状、150億ドルのコンテンツ予算を持つNetflixに対して、Amazonのそれは60億ドルにとどまる。しかし、AWSなどAmazonのビジネスがもたらすキャッシュフローなどで「Netflixを追い越すことは可能」としている。

 また同氏は、オリジナルコンテンツにあたって「Appleブランドのイメージを守る」ことが、ストリーミングビジネスを難しくするだろうと予想する。ほかに、新しいApple TVではプラットフォームのメンテナンスなどの作業が必要になる点も指摘した。

 これまでアプリとして参加していた動画コンテンツ事業者との関係も微妙だ。既に大手Netflixは決済プロセスをApp Storeの外で行うようにしており、今回のApple TV channelsにも参加していない。