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デジタル変革進めるWalmart 年末商戦に突入へ

Microsoftとの戦略提携が始動

 今年7月に結ばれたMicrosoftとクラウドの戦略提携も具体化してきた。

 両社は11月5日、提携を拡大して共同研究施設「Cloud Factory」を来年テキサス州ダラスに開設すると発表した。双方から約30人の技術者が参加して、イノベーションの加速を図る。その最初の重要な役割は、内部ビジネスアプリケーションをMicrosoft Azureに移行することだという。

 両社の説明では、Walmartの数千の内部アプリケーションをAzureに移行し、新しいクラウドネイティブアプリケーションも構築する予定だ。MicrosoftのAI、自然言語処理、チャットボットの技術などを利用する。

 10月の投資家イベントでWalmartのCEO、Doug McMillon氏は「モバイルアプリでクレーム情報をタイムリーに伝え、1700万ドルの節約を見込んでいる」「機械学習で500以上のソフトウェア自動化ボットを使用して推定3000万ドルの節約になる」など内部アプリによる業務効率改善に言及していた。

 一方、Microsoft側にも提携は特別な意味があるようだ。

 MicrosoftウォッチャーのMary Jo Foley氏によると、同社は「パートナー」を再定義しているという。MicrosoftにとってWalmartは、従来の「再販業者/インテグレータ」や「OEM/ISV」とは異なり、事業運営に深くかかわる「デジタルパートナー」になるとJo Foley氏は同社幹部の発言を引用して解説する。

 Microsoftは昨年、大規模な組織再編の一環として、「カスタマーサクセス」組織を構築した。カスタマーサクセスは「顧客に継続的にシステムを利用してもらうため、業務改善の支援を続ける」というコンセプトだ。

 クラウドでソフトウェアが買い切り型からサブスクリプション型へ移行する中、巨大システムを持つ顧客との共同作業は必須になったという。Cloud Factoryの試みはその一環であり、エンタープライズクラウドの最高の成功例になりうるというのだ。