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VMwareがKubernetesベンチャー「Heptio」を買収 マルチクラウド化を加速

IBMによるRed Hat買収との共通点

 専門家らは買収を評価しているようだ。SDxCentralは「アナリストはこれまで、コンテナにおけるVMwareのポジショニングを懸念していた」と述べ、この買収が不安を除くことにつながるとみている。

 Container Journalは、Kubernetesを実装する土台として、ベアメタルのサーバーか仮想マシンかという選択肢があることを指摘しながら、「VMwareは、仮想マシンの上にKubernetesを載せることで、既存のセキュリティ、ストレージ、ネットワークサービスを容易に拡張するという方式を示した」とする。

 また、ベアメタルには、仮想マシンのオーバーヘッド軽減や、商用仮想マシンのライセンス不要といったメリットがあり、「今後数年間で、ほとんどの企業は仮想マシンと物理マシンの混在した実装を終わらせるだろう」と予想する。

 VMwareのCEO、Pat Gelsinger氏は「全ての主要なクラウドは仮想マシンでコンテナを動かしている。それがコンテナを動かすのに最適な方法だからだ」と述べたが、SDxCentralは、そう言いながらも同社が仮想マシンからコンテナへと戦略のシフトを図っていると分析する。

 SDxCentralは別の記事で「VMwareの強みは、多くの企業が当初はコンテナをvSphere環境で動かすと予想されることだ」という調査会社CowenのアナリストGregg Moskowitz氏の見解を紹介している。だが同時にMoskowitz氏は、Container Journalと同じく、これを短期的なものとみている。「VMwareはコンテナの脅威をやりくりできるだろうが、長期的にはvSphereへのリスクがある」(Moskowitz氏)ということだ。

 マルチクラウドとKubernetesというキーワードから、IBMのRed Hat買収と比較したメディアもある。SDxCentralは「Heptioは小さなスタートアップだが、IBMがRed Hatに求めたものの中核は、VMwareがHeptioに求めたものと似ている。Kubernetesで優位に立ち、次世代のクラウドを実現していくことだ」とする。

 Kubernetesを巡る動きは活発だ。8日にはCiscoが、AWS上でKubernetesを稼働させる「Cisco Hybrid Solution for Kubernetes on AWS」を発表した。AWSにとっては「VMware Cloud on AWS」の強化に続くKubernetes対応で、マルチクラウドでCiscoのソリューション活用が可能になる。

 マルチクラウドのトレンドで、各社の戦いの中心にKubernetesがあるということは間違いなさそうだ。