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インドで個人データの国内保存が義務へ データローカライゼーションの波

緩和を求める動きも活発化

 インド国外の企業は、データローカライゼーション政策に反対しており、同国政府に対して、当該項目の廃止や緩和を求めている。

 米国を中心とする10の産業団体は9月26日、Ravi Shankar Prasad・IT担当大臣あてに書簡を送り、個人データ保護法案から「強制的なローカライゼーション」の項目を廃止するよう求めた。これには、USIBC(U.S.-India Business Council)、ITI(米情報技術産業協議会)、欧州のDigitalEurope、日本のJISA(情報サービス産業協会)らが名を連ねている。Economic Timesによると、海外企業の事業コストが30%から60%上昇し、さらにセキュリティ上の問題も生じると主張しているという。

 また、米国企業のロビー活動も活発化している。Reutersによると、米上院のJohn Cornyn議員(共和党)とMark Warner議員(民主党)は10月12日、Narendra Modi首相あてに書簡を送った。強制的なデータローカライゼーションは、米印間の「主要な貿易障壁」になると警告して、緩和を求めたという。米国が各国と繰り広げている貿易戦争の一つに加わる可能性がある。

 巨大なユーザーデータを持つ国の筆頭は中国だが、昨年施行されたサイバーセキュリティ法で、中国国内で収集・生成された個人情報やデータは全て同国内で保管するよう明確に義務付けた。インドの動きはこれに続くものとなる。

 国連の推計では、インドの人口は2024年に中国を抜いて世界一になるという。つまりデータ保有国としても世界一ということだ。「データを制する者が世界を制する」時代、インドの動向は注目される。

 個人データ保護法案は今冬のインド国会で審議される予定だ。