Infostand海外ITトピックス

ARMが新ブランド「Neoverse」発表 データセンターからエッジまで狙う

インフラ全体では既にシェア20%超

 ARMのサーバが強く意識されるようになったのは、2012年の64ビットコア「Cortex-A57」の発表ごろからだろう。省電力のARMをサーバに利用するというアイデアは魅力的で、期待が高まったが、実際のところ広がってはいない。

 ARMベースのサーバプロセッサを開発していたCalxedaは2013年末に、資金で行き詰まって事業を停止。AMDが2016年に投入したサーバ向けARMプロセッサ「Opteron A1100」もあまり採用されることはなく、BroadcomやApplied Microもサーバ向けARMチップから手を引いた。

 残ったのは、Marvell Technology Group傘下のファブレス、CaviumぐらいだとThe Next Platformは説明する。ハードウェアとしてはHewlett Packard Enterprise(HPE)のスパコンなどはあるが、これもメインストリームにはなっていない。

 だが、インフラ市場全体で見れば、ARMのシェアは右肩上がりに成長している。ARMがNeoverseの発表時に見せたスライドは、サーバだけでなく、WANルーター、ゲートウェイ、無線基地局、スイッチなども含み、2017年で20%を超えていた。

 この波に乗って、ARMはこのところ積極的だ。2018年に入って、自動運転カー向け7ナノメートル製造チップの「Cortex-A76AE」、機械学習向けプロセッサ「ARM Machine Learning」などを発表している。

 The Next Platformは「ARMには、データセンターとデバイスがどのようにやりとりし、どう変化しているのかの全体的な図がある」と同社の強みを指摘。SiliconANGLEは、スマートフォンへのコンテンツ配信に最適化されたインフラは変化しなければならず、ネットワークエッジでのデータ処理の方向が追い風になるとしている。

 ARMの戦略の変化には、2016年に320億ドルで同社を取得したソフトバンクグループの影響もあるようだ。アナリストのMoorhead氏は、Neoverseブランドの立ち上げや技術開発の投資を含む新戦略を、「ソフトバンクによる買収の結果」と評する。またTelegraphは、ソフトバンクに買収されて以来、ARMの社員数が約1000人増えたことも伝えている。

 クラウドとデータセンター、エッジコンピューティングの変革は進んでいる。この機をつかんでインフラも制するのか――。ARMにとっては重要な局面となっている。