ニュース

HPE、ハイブリッドIT運用に向けたAIエージェントフレームワーク「GreenLake Intelligence」を発表

 米Hewlett Packard Enterprise(以下、HPE)は現地時間6月24日、ハイブリッド運用の容易性を実現するエージェント型AIフレームワーク「GreenLake Intelligence」を発表した。

 HPEでは、新しいGreenLake Intelligenceのエージェント型AIフレームワークは、エージェント型AIOpsを活用する統合ハイブリッドクラウド運用モデルを通じて、ハイブリッドITを変革するというビジョンを掲げていると説明。GreenLake Intelligenceは、HPEの包括的なハイブリッドクラウドテクノロジースタックを基に一から構築され、緊密に統合されます。サイロ化されたワークフローや手動のワークフロー、トラブルシューティングの遅延、ITリソースの過少活用を解決し、多大な負担を負っているITチームの負担を軽減する役割を果たすとしている。

 GreenLake CopilotからアクセスするGreenLake Intelligenceは、ストレージ、ネットワーキング、コンピュート、仮想化リソース、ハイブリッドクラウドのコスト管理、可観測性、サステナビリティ、ビジネスサービスにおいて、コンテキストを踏まえてリアルタイムに通信・推論を行うAIエージェントを展開する。

 新しいHPE Aruba Networking Centralのエージェント型メッシュは、ネットワークとセキュリティの状態を自律的に分析し、精緻なインサイトと実行可能な対処策を提供する。マルチモーダルな会話型ネットワーキングコパイロットからアクセスできる「HPE Aruba Networking Central」は、複雑なネットワークおよびセキュリティの問題について、正確な根本原因分析と、ガイド付きまたは自動化された修復を実現する。HPEにおけるネットワーク技術の進展は、セキュリティを最優先に設計されたAIネットワーキングのためにコンテキストに合わせて調整された、複数のモデルを活用し、ネットワーク専用の推論エージェント群によって実現される。

 「HPE OpsRamp Software」は、エージェント型AIOpsを実現。AI生成のダッシュボードおよび直感的で文脈に応じたガイダンスを提供し、対応策を推奨する。2024年に提供を開始したOpsRampのオペレーションコパイロットは、検出と修復の迅速化を図るために、フルスタックインフラストラクチャ全体のIT運用にエージェント型自動化を実現する。人間による監視体制を維持しながら、OpsRampは、会話型の製品ヘルプやAI/MLを活用したアラート、インシデント管理、根本原因の支援を可能にするエージェント型コマンドセンターなど、重要なエージェント型機能を実装する。

 GreenLake Intelligenceを通じたOpsRampのオペレーションコパイロットは、コンピュート、ネットワーク、ストレージ、仮想化、その他のソフトウェアレイヤーといったシステムを連携させることで、根本原因分析、説明性の確保、キャパシティプランニングなどのユースケースを実現する、マルチドメイン対応のエージェント型システムになるとしている。

 HPE Alletra Storage MP X10000は、エージェント型AIで強化されたストレージを、MCP (Model Context Protocol)サーバーのサポートにより実現する。MCPサーバーを介して、GreenLake IntelligenceとX10000を連携させることで、開発者や管理者がGreenLake Copilotまたは自然言語インターフェイスを通じて、データ管理と運用をオーケストレーションできるようにする。さらに、X10000に組み込まれたデータインテリジェンスレイヤーを社内外のAIエージェントとつなげることで、AIワークフローに非構造化データやメタデータに基づくインテリジェンスを確実に供給できる。

 また、HPEは、FinOpsおよびサステナビリティに関するGreenLakeクラウドサービスを強化し、ワークロードの計画と容量管理のための新しい機能を追加する。これらのサービスは、GreenLake Intelligenceに統合される。

 Workload and Capacity Optimizerは、HPEのコンピュート、ストレージ、ネットワーキング技術、仮想マシン、そしてマルチベンダー構成のITインフラ全体にわたるワークロードとハードウェア資産を、コスト効率、レジリエンス、サステナビリティの観点から最適に管理する統合ソリューションを提供する。

 Consumption Analyticsの拡張によるコスト管理も強化。新たに追加された機能には、支出の異常を事前に検知するアラート、チャージバックを可能にするFOCUS形式(FinOps Open Cost and Usage Specification)でのエクスポート、仮想マシンのスケールダウンや使用の停止を含む、コスト最適化に向けたインフラ変更の推奨が含まれる。

 HPE Sustainability Insight Centerには、ハードウェアに起因する温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)の可視化と削減を支援する、予測型のサステナビリティ予測機能および、カスタマイズ可能なサステナビリティ指標を備えたマネージドサービスプロバイダーモードを新たに追加した。

 新たに提供するHPE CloudOps Softwareスイートは、統合されたハイブリッドクラウド運用モデルの構築をシンプルにする。このスイートは、OpsRamp、HPE Morpheus Enterprise Software、HPE Zerto Softwareで構成され、単体でもスイートの一部としても利用可能。これらのソフトウェアは、マルチベンダー、マルチクラウド、マルチワークロード環境全体にわたり、自動化、オーケストレーション、ガバナンス、データモビリティ、データ保護、そしてサイバーレジリエンスを実現する。

 HPE Servicesは、CloudOpsの導入を加速するためのサービスを強化する。HPEのサービスポートフォリオは、Day -1のコンサルティングから、Day 0の計画策定、Day 1の実装・統合、そしてDay 2の運用に至るまで、顧客のライフサイクル全体をカバーすると説明。さらに、CloudOpsはHPEによるマネージドサービスとしても提供し、クラウド運用技術の導入をシンプルにする包括的なプロフェッショナルサービスと組み合わせることで、複数のクラウドプロバイダーにまたがるリソースの最適化を容易に行えるよう支援するとしている。

 新たに提供するHPE CloudPhysics Plusアセスメントツールは、ワークロードの配置、資産の活用状況、インフラのモダナイゼーションに関する自動分析と推奨を通じて、ハイブリッドITのモダナイゼーションを包括的に支援する。CloudPhysics Plusは、従来のCloudPhysicsが備える仮想化分析機能を基盤に加えて、オンプレミス、マルチクラウド、クラウドネイティブ環境にまたがる複数のランタイム(Hyper-V、ベアメタル、Kubernetes、パブリッククラウドなど)に対応するよう拡張される。この新しいアセスメントツールは無償で、HPEの営業担当およびチャネルパートナーが無償アセスメントを実施する。

 GreenLakeの新たな購入モデルとして、HPE Cloud Commitプログラムを提供。Cloud Commitプログラムは、GreenLakeの顧客が長期的かつ予測可能な投資にコミットすることで、より大きな割引や付加価値サービスおよびソフトウェアを利用できる機会を提供する柔軟な購入モデルとなる。

 HPE Financial Services(HPEFS)では、CloudOpsおよび単体のMorpheus、OpsRamp、Zertoを対象に、ライセンス期間中のコストを年単位で最大3年間にわたり、追加費用なしで分割できるゼロパーセントファイナンスプログラムを新たに提供し、導入初日から企業を支援する。さらに、HPE Alletra Storageポートフォリオ(HPE Alletra Storage MP X10000を含む)向けには、従来の購入方法と比較して最大10%のコスト削減を実現し、初回2カ月間の支払いが不要な新しいファイナンスプログラムも開始する。

 HPEFSでは、HPE GreenLakeによるハイブリッドモダナイゼーションの加速に加え、HPE製品に限らず、既存のIT資産を買い取り、環境に配慮したIT機器の再利用・処分を支援する、幅広いファイナンスおよびITライフサイクルサービスを提供する。

 GreenLake Intelligenceは、HPEポートフォリオの全体にわたる継続的なイノベーションを通じて提供する。GreenLake Copilotのベータ版は、2025年第3四半期に提供開始予定。エージェント型メッシュ機能を備えたHPE Aruba Networking Centralは、2025年第3四半期より提供開始予定。MCPをサポートするHPE Alletra Storage MP X10000は、2025年後半に提供開始予定。HPE CloudPhysics Plusアセスメントツールは、2025年第4四半期に提供開始予定。HPE Cloud Ops Softwareは、2025年第4四半期に提供開始予定。