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MicrosoftがLinux採用製品を投入 IoTで全面攻勢

 「Microsoft Loves Linux」。このメッセージは、ここ数年のMicrosoftを知る人にとって目新しくはなくなった。それでも、同社が新しい製品「Azure Sphere」でカスタムLinuxカーネルを採用したことは、大きなニュースになった。もはや“Windowsカンパニー”ではない、とも言われるMicrosoftがフォーカスしているのは、「インテリジェントなクラウド」と「インテリジェントなエッジ」だという。

最適なのはLinuxカーネルだった

 「(設立から)43年たち、われわれは初めてカスタムLinuxカーネルを発表し、配信する」。Microsoftのプレジデント兼最高法務責任者のBrad Smith氏は、こう述べて「Azure Sphere」を発表した。4月26日、サンフランシスコで開催されたセキュリティ業界最大のカンファレンス「RSA Conference 2018」でのことだ。

 Azure Sphereは「エッジ」デバイス向けのソフトウェアとハードウェアスタックだ。セキュリティのイベントで発表されただけあって、その最大の特徴はセキュリティとなる。

 発表ブログによると、Azure Sphereはマイクロコントローラー(MCU)デバイスを構築するためのソリューションで、(Azure Sphere認定を受けた)MCU、OS(Azure Sphere OS)、セキュリティサービス(Azure Sphere Security Service)で構成される。MicrosoftはMCUを、「親指の爪ほどの小さなチップで、コンピュート、ストレージ、メモリ、OSを含む」と定義している。

 Linuxカーネルを使ったのはAzure Sphere OSの部分で、チップをセキュアにするためだ。「現在よく使われているRTOS(リアルタイムOS)とは異なり、深いレベルでの防御機能を持つIoT OSであり、比類なきセキュリティとアジリティを実現する」とMicrosoftは説明する。Azure Sphere OSにはWindowsで培ったセキュリティ分野の技術、セキュリティモニターを組み合わせているという。

 「われわれはWindowsカンパニーだ。だがこのサイズ(超小型)のコンピューターに最適なソリューションはWindowsではないと認識した」とのSmith氏の言葉をCNBCが伝えている。

 こうしたMicrosoftの動きに対し、ZDNetのオープンソース担当記者は、「MS-LinuxでもLinux Windowsでもない。だが、それでも 驚くべきことだ」と評している。そして、Linus Torvalds氏がかつて「もしMicrosoftがLinux向けにアプリケーションを作成するようなことがあれば、その時が私の勝利だ」と語っていたことに触れながら、ついに「Torvalds氏が勝利した」と述べている。