Infostand海外ITトピックス

AI開発の新拠点・台湾 米大手の取り組みで急浮上

 今年に入って、GoogleやMicrosoftなどが次々に台湾に研究開発拠点を設立・拡充している。AI分野の成長に対応するためで、開発人員の大幅な拡充や教育プログラムの推進などを計画している。AIの人材育成が急務となっていることに加え、大市場・中国をにらんだ布陣となる。

Google、Microsoft、ベンチャーまでR&D拠点化

 Google台湾は3月21日、AI人材の育成を図る「Intelligent Taiwan」を発表した。計画では、ハードウェアとソフトウェアのエンジニアを中心に300人以上を増員。外部に向けては、5000人超の学生をAIプログラマーとして養成し、5万人の企業従業員と学生を対象にデジタルマーケティングの訓練を行う。

 Googleにとって台湾は既に“研究開発とイノベーションのハブ”だという。昨年、11億ドルで買収したHTCスマートフォン部門のエンジニアら約2000人が移籍し、現地法人の従業員数は1月末、一挙に2倍以上になった。Google台湾董事総経理(社長)のChien Lee-feng (簡立峰)氏は「台湾は、Googleのアジア最大のエンジニアリングサイトになった」と説明している。

 Microsoftも1月12日、台北市にAIの「R&Dハブ」の設置を発表している。3300万ドルを投じて今後2年間で100人の研究チームを雇用し、さらに5年以内に200人にまで増やす計画だ。台湾政府との戦略的パートナーシップに基づくもので、「(R&Dセンターでは)インテリジェントアウトプット、ユーザー意図認識、AIによる垂直産業統合にフォーカスしたAIコア技術の開発を狙う」(AI研究グループCTO兼バイスプレジデントのDavid Ku=古卓倫氏)という。

 他企業の動きも活発だ。IBMは3月、台湾のR&Dセンターを拡充して、AI、ブロックチェーン、クラウドなどの分野に注力すると発表した。今年、100人を新規に雇用し、新しいクラウド研究所を設置する。またAWSは1月11日、台北市の衛星都市の新北市政府と共同イノベーションセンターを設立する覚書を交わした。ほかに、バルチモアに本社を置くAI創薬ベンチャーInsilico Medicineが3月20日に台湾R&Dセンターの設置を発表するといった例もある。

 台湾は世界のAI開発競争の中、R&D拠点として急浮上している。