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AppleがMacに独自チップ採用か 脱Intelの道のり

ハードウェアを改善して差別化

 この報道に対する反応は、驚きよりも納得の方が強いようだ。Appleは既に、2016年発表のMacBook Proの「T1」と、昨年末のiMac Proで採用した「T2」という自社製チップで、Macのセキュリティ機能や表示機能を提供している。iOS用の「A」シリーズだけでなく、Macでのカスタムチップは大いにありうることだと考えられる。

 早くからAppleのチップ関連の動きに注目していたArs Technicaは、Bloombergが報じる2019年登場のMac Proは、まず、このT2を搭載すると予想。さらにT2もしくは新しいチップの形でT2の機能の一部を持つノートパソコンが出るとも予想している。

 Ars Technicaによると、Appleの自社チップ開発は、PowerPCからIntelへの移行を発表した2005年当時でも検討されていたという。そのメリットは「Intelのロードマップに縛られなくなる」「差別化を迅速に提供できる」「iOSのエコシステムを活用できる」などで、「Appleは長く、機が熟すのを待っていたのではないか」と推測する。

 Bloombergのニュース解説者、Alex Webb氏も動画でArs Technicaが言うようなメリットを挙げながら、その背景にはハードウェアの収益の鈍化があると指摘する。

 Webb氏は「ハードウェアからの収益を増やす必要がある。そこでサプライチェーンに拡大して、自社のイノベーションを入れ、Intelのスケジュールに依存しないようにした」「HP、ASUSなどはIntelのチップを採用しており、AppleがIntelよりも優れたチップを開発できれば、ハードウェアを改善して、差別化につながる」と分析する。

 一方で、チップの内製化には課題もある。Ars Technicaは、Macがメインストリームになれたのは2005年のIntelチップの採用が大きかったと指摘した上で、この状況でIntelチップから脱却してゆくのは、長い道のりになるとだろうと予想する。

 アーキテクチャの変更はアプリケーションをはじめ、随所に大きな影響を与える。スマートフォンやタブレットのようなWeb中心のユーザーには、「バッテリー寿命の改善、常時接続、軽量・小型化などの(自社チップ採用による)メリットは魅力的だろう」としながら、Macには、それだけではない多くのユーザーがおり、変更を歓迎しないだろうとも述べている。