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仮想マシンのクラウド移行で火花 VMware・AWS連合とMicrosoft

不可解なMSの“Azure移行サービス”

 re:Invent開催の一週間前、Microsoftが突然、オンプレミスのVMware仮想マシンをAzure上に移行するサービスを発表した。「VMwareのフルスタックをAzureハードウェアで動作させるベアメタルソリューション」と説明しており、2018年に開始予定という。Azureの全ユーザーを対象に無料で提供するとも述べている。

 VMware仮想マシンのパブリッククラウド移行は、VMware Cloud on AWSのほか、IBMもサービスを提供している。もちろん、Microsoftとしても、ぜひラインアップに持ちたいところだろう。だが、VMwareとMicrosoftは長い間、仮想化ソリューションをめぐって争ってきた関係があり、手を組むとは思えない。

 実際、Microsoftはブログで「VMware認定プレミアパートナーたちとの協力で提供する」と説明している。つまり、“VMwareの直接のパートナーではない”という意味にとれる。

 そして2日後、VMwareは、この発表に直接コメントするという異例の対応を見せた。製品開発・クラウドサービス担当シニアバイスプレジデント、Ajay Patel氏はブログで「(Microsoftの発表には)VMware認定プレミアパートナーの名はなく、この件でVMwareはどのパートナーとも協力してはいない。VMwareと関係なく開発されたものであり、認定もサポートもない」と一切の関与を否定したのだ。

 さらに「Microsoftの説明は、中間的な移行ソリューションであり、Azure上でエンタープライズワークロードを稼働させるものではない」と突き放している。

 The Registerによると、Microsoftは11月28日予定していた新サービスの詳細を説明するWebキャストを12月13日に延期した。その理由の問い合わせには「(延期は)全登録者に通知済みで、現時点で、これ以上言えることはない」との回答だったという。

 The Registerは、今のところ憶測の域を出ないとした上で、先の発表はAWSのイベントにぶつけるために繰り上げられたが、結局、AWSへの関心が落ち着いてから詳細を発表するに変更したのだろう、とのMicrosoftに近い筋の見方を紹介している。

 同社のサービスの内容は、まだ分からないが、VMware移行サービスでの戦いが激化することは間違いなさそうだ。

【2017年12月25日追記】

 Microsoftは12月19日、「VMware virtualization on Azure」を、VMwareや同社のパートナーと協力して提供すると発表。一転してVMwareと協力関係になったことを明らかにした。これに合わせてVMware側もAjay Patel氏のブログを更新。「認定もサポートもない」といった部分を削除して、「VMwareはパートナーと協力して、適切なサポートモデルが整備されるよう準備を進めている」と変えた。このサービスは、CiscoとNetAppによる「FlexPod」で構成されるVMware認証ハードウェア上にデプロイされるという。The Registerは「ベアメタル構成が、SAP HANAクラウドで使用するものに類似している」と指摘している。