Infostand海外ITトピックス

本格的な影響が始まる 2017年のAIトレンド

AIのネガティブな面も出始める

 2016年を、身近な製品にAIが入り始めた年とすれば、2017年は影響が出てくる年になりそうだ。TechRepublicは、AI技術が及ぼす影響を論じた専門家の声を集めている。

 その中で、デューク大学のコンピューターサイエンス学教授のVince Conitzer氏は、よく言われている雇用への脅威にも触れながら、次のように述べている。

 「技術による失業、自律兵器、偏ったデータに基づく機械学習、反対意見を抑え込むための機械学習、道徳的判断をするAIシステム、など一般的なテーマは判明してきた。さらに特定の新技術の発展や、その失敗が、これらの議論を活発化させるだろう」。加えて、弁護士が自動運転と法について考えたり、経済学者が技術による失業を研究したり、社会学者がAIベースのレコメンデーション・支援サービスの影響を研究したり、といったことも起こるだろう、と続けている。

 また、AIが悪用される可能性もある。AI技術ベンチャーSundown AIのCEO、Pablo Cardenas氏は「小規模なサイバーグループが、企業・組織や個人からだまし取る目的で非道なAIを作成する。こうした“ならず者AI”は、ハッキング不可能と考えられていたシステムのハッキングにも成功するだろう」とコメントしている。

 ルイビル大学のサイバーセキュリティ研究所でディレクターを務めるRoman Yampolskiy氏は「AIの失敗の頻度が増え、失敗もAIの能力に見合った重大なものになってゆく。言い換えれば、AI分野で進歩するほど、“邪悪なAI”の可能性も高まるのだ」と述べている。

 こうしたネガティブな効果をもたらすAIの発展に、研究者たちはどう対抗するのだろう――。デューク大学のContizer氏は「AI研究者は自分たちの研究の社会的、モラル的な問題に関心を持っている。だが今は、そこで確固とした技術貢献ができるのかを見出そうとしているところだ」と言う。

 このほか、自動運転車による事故なども懸念として挙げられており、AIが人間と同じ価値観を持って運用するという課題が「超知能(superintelligence)の問題としてではなく、われわれが、いま現在開発するアルゴリズムと機械学習プログラムの問題としてとらえられるようになる」という専門家の意見も紹介している。