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2017年のクラウド市場は? 活用拡大とクラウドがもたらす変化

 2016年もクラウドコンピューティングは確実に広がり、エンタープライズにも浸透が進んだ。新しい年は、さらに加速が予想されている。同時に複数のクラウドの管理などの課題も浮上し、組織面の変化も予想されている。クラウドをめぐる予想を取り上げる。

「クラウドは“ニューノーマル”だ」

 クラウドは今年も着実に採用が拡大した。IDGが約930人のITとサイバーセキュリティの意思決定者を対象に実施した調査「2016 IDG Enterprise Cloud Computing Survey」では、70%が「少なくとも1つ以上のアプリケーションをクラウドに移行させている」と回答し、56%が「ITオペレーションをクラウドホスティングの候補として見ている」とするなど、今後も利用を拡大させる意向が見てとれる。

 IDGは、2017年の調査対象企業のクラウドコンピューティングへの投資額を平均162万ドルと予想しているが、世界でも特に積極的なのは米国企業のようだ。IDGの調査のポイントをまとめたForbesは、米国企業の平均投資額が177万ドルと、米国以外の130万ドルより大きい点を指摘している。また組織規模が大きいほど投資に意欲的で、1000人以上の企業の1割が、1000万ドル以上をクラウドコンピューティングアプリおよびプラットフォームに投じる計画だという。

 こうしたクラウドの積極活用をけん引するのは、データストレージ/データ管理、ビジネス/データ分析の両分野で、「今後3年以内にクラウドに移行する」がともに43%に上った。クラウドの利用で狙うメリットは、TCO(総所有コスト)の削減、オンプレミスのレガシー技術のリプレース、ビジネス継続性、が上位だった。

 同時にオンプレミスとクラウドの力関係も入れ替わりそうだ。IDGは、ITインフラをクラウド(パブリック、プライベート、パブリック)に持つ企業が、今後1年半で60%(現在45%)に達すると予想する。つまり、2018年には、もっぱらオンプレミスに置く企業は半数に届かない“少数派”に転落することになる。

 この点を取り上げたForbesは「クラウドはニューノーマルになる」と記している。なお、1つ以上のアプリケーションがクラウドにある比率は、大企業で75%に増え、「クラウドはエンタープライズを勝ち取り、2017年もさまざまな分野でさらに深くクラウドの利用が加速する」としている。