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OpenStackは“金のならない木”か? 「Summit」とベンダーの人員削減

転換期迎えたOpenStack

 OpenStackをめぐって不穏な動きがあるのだろうか? 技術エバンジェリストのBen Kepes氏はComputerworldへの寄稿で、興味深い指摘をしている。Kepes氏によると、今年のSummitでは、HPE、Mirantisをはじめベンダーの存在感が以前に比べて後退。それぞれ、「ほぼ目に見えない」(HPE)、「存在感は最小限」(Cisco)といった様で、比較的存在感を示していたIBMですら「これまでに比べると静か」だったとレポートしている、

 メディアではしばしば、コンテナなどの新しい技術の台頭で仮想化プラットフォームへの関心が薄れつつあると言われるが、Kepes氏は、それは先走りすぎだと否定する。「実際のところ、コンテナは注目技術であるものの、エンタープライズはコンテナの採用に慎重な姿勢を示している」と述べ、その一方でOpenStackが、学術、小売、通信などさまざまな分野で着実に浸透していると断言する。

 ではどこに問題があるのか? Kepes氏によると、ユーザー企業の多くが自社内にOpenStackチームを抱えているため、商業ベンダーが製品やサービスを売り込んで収益を上げるのが難しいのだという。「Summitに登壇したOpenStackの成功事例には、商業ベンダーが利益を上げたものはない」とKepes氏は指摘する。

 同氏によると、OpenStackはベンダーからみると“金のならない木”かもしれないが、OpenStackが企業に採用されていることはまぎれもない事実であり、「OpenStackは現実のものであり、現実の世界でエンドユーザーにバリューをもたらしている。ただしベンダーに十分なバリューをもたらしているかどうかは、全く別の問題だ」としている。

 OpenStack FoundationはOpenStack Summitに合わせて、調査会社451 Groupに委託したレポートの結果を発表した。それによると、OpenStack採用企業の3分の2が従業員1000人から10000人の組織となり、大企業に限定されなくなった様子がうかがわれる。

 誕生から6年を迎えるOpenStackは一つの転機を迎えている。ただし、今後の発展は、ベンダーの当初の思惑とは違う方向かもしれない。