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OpenStackは“金のならない木”か? 「Summit」とベンダーの人員削減

HPE、MirantisらがOpenStack開発者を解雇

 一方、OpenStackに影が差すようなニュースもSummit期間中に報じられた。OpenStack支援ベンダーで知られるHewlett Packard Enterprise(HPE)、OpenStackベンダーのMirantisの2社がそれぞれ約100人のOpenStack開発者を解雇したというものだ。

 HPEの解雇について最初に報じたZDNetは、Ubuntuを開発するCanonicalの創業者、Mark Shuttleworth氏から、「HPEがOpenStackチーム全体を解雇する」との情報を得たとしている。他メディアもこの後を追った。HPEはIronic、Trove、HeatのOpenStackコンポーネントのプロジェクトをリードする重要なベンダーという。

 HPEはすでに、DockerベースのPaaSであるStackatoのスタッフを多数解雇したと報じられている。同社はHewlett-Packard(HP)から分社化して再スタートして以来、パブリッククラウドの提供を終了し、プライベートクラウド、マネージドクラウドにフォーカスしている。

 The RegisterはOpenStackチームの解雇について、「以前発表していたリストラプログラムの一部」とのHPE関係者のコメントを伝えている。「サプライチェーンの生産性へのフォーカス、裁量支出を調整し、人員の再配分を行うことで、競争力を強化し、持続性のあるコスト構造を持つことができる」という説明だ。

 またMirantisの人員削減は、プライベートクラウドのマネージドサービスにおける、NTTコミュニケーションズとの提携と同時に明らかになった。Kubernetes実装技術のTCP Cloud買収後のリストラの結果という。ZDNetは「運用中心のOpenStackディストリビューションをBOT(構築、移転、運用)モデルで提供するというフォーカスに沿うものではない」との、Mirantisの共同創業者でCMO(最高マーケティング責任者)のBoris Renski氏のコメントを伝えている。

 The Registerによると、100人のOpenStack開発者が解雇され、別の100人についても社内で異動があったという。主に、OpenStack向けの実装管理ツールFuelプロジェクト、PaaS構築のWorkloadsチームの2つが影響を受けているようだ。Registerはまた、OpenStackのコミュニティ貢献を追跡するWebサイト、Stackalyticsから、HPEとMirantisからのコード貢献量が減っていることにも触れている。これまでHPEは8%、Mirantisは19%だったが、それぞれ4%と12%になっているという。