Windows Server 2012研究所

Windows 8.1 Updateのポイントを解説する (IE11に追加されたIE8互換モード)

キーボードやマウスのユーザーに向けたアップデート

IE11に追加されたIE8互換モード

 Windows 8.1 Updateでは、IE(Internet Explorer) 11にIE8互換モード(Enterprise Mode IE=EMIM)が追加された。EMIEは、IE11できちんと表示ができなかったIE8対応のWebサイトの表示ができるようになった。

 EMIEでは、IE11にIE8のCSSを理解して画面表示ができるように機能を拡張している。この機能ができたことで、IE8ベースで開発された社内のWebアプリケーションなどを、大規模な改修をしなくても、IE11でもそのまま利用できる。

左側がIE8対応サイトを今までのIE11で表示したとき。IE8ではないので、IE8をインストールしてくださいとメッセージが出る。右側は、EMIEでIE8サイトを表示。きちんとIE8対応サイトがIE11で表示できる

 また、IE11が持つ高速なJavaScriptのパフォーマンスをIE8対応のサイトでも使用することができる。互換性だけのために古いOSを利用するよりも、EMIEにより、IE8の互換性を持ちながらIE11の高い性能が利用できるのは、大きいメリットだ。

IE11のEMIEモードを使えば、IE11のJavaScriptのパフォーマンスが享受できる。IE8と比べると約9倍も高速だ

 なおEMIEは、単にWindows 8.1 Updateをインストールするだけでは動作しない。グループポリシー(レジストリを直に設定してもOK)でEMIEを動かすように設定しないと、IE11のツールに互換モードのメニューも表示されない。

EMIEをオンにするには、グループポリシー(レジストリ)に項目を追加する必要がある
Windows 8.1 Updateをインストールしただけでは、EMIEはオンにならない。ここではレジストリに手動で項目を追加している

 Microsoftでは、IE8サイトのURLをXMLファイルとして登録して、ADで管理しているクライアントPCに配布するようにすれば、ユーザーがいちいちIE8互換機能を動かさなくても、URLをチェックして、自動的にIE8互換機能を動かしてくれる。

 また、URLをXMLファイルにする補助ツールとして、Enterprise Mode Site List ManagerがMicrosoftのサイトに用意されている。このソフトを利用すれば、簡単にWebリストを作成することができる。

Enterprise Mode Site List Managerを使えば、簡単にIE8サイトのURLをXMLファイル化できる
4月8日時点では、Enterprise Mode Site List Managerは配布されていない。Technetサイトなどで配布される予定だ

 EMIEは暫定的なモノで、将来的にずっと、IEがIE8モードをサポートするということではない。将来的には、HTML5などの使ったWebアプリケーションへ移行が薦められている。

 IE11では、3DグラフィックのWebGLのサポートなども行われた。WindowsのDirect3Dをベースにしているため、WebGLを利用した3Dグラフィックスが高速に表示される。

EMIEがオンになっていない場合は、IEのツールメニューにエンタープライズモードは表示されない
レジストリでエンタープライズモードをオンにすれば、ツールメニューにエンタープライズモードが表示される。もし、IE8対応サイトにアクセスした場合、手動でツールメニューから選択すれば、画面表示がきちんと表示できる。また、サイトのURL情報が保存されるため、再度アクセスしてもEMIEモードでアクセスする
IR11のURLの左側にエンタープライズモードでアクセスしているかどうかのアイコンが表示される

(山本 雅史)