クラウド&データセンター完全ガイド:特集

東アジアの玄関口に位置する沖縄の地の利を生かし、人、モノ、情報サービスを結ぶハブとなる――ファーストライディングテクノロジー株式会社(FRT)

東京営業所長 安村廣樹 氏
ソリューション事業本部 インターネットデータセンター部 ソリューションセンター長 砂辺剛志氏

BCPやDRを目的としたバックアップ拠点としての優位性と新たな需要の取り込み

 電力自由化の動きを受けて新たな収益源となる事業創設に向かった沖縄電力により、ファーストライディングテクノロジー(以下、FRT)は2001年に設立された。

 FRT ソリューション事業本部 インターネットデータセンター部 ソリューションセンター長の砂辺剛志氏は、「東アジアの玄関口に位置する沖縄の地の利を生かし、人、モノ、情報サービスが行き交う国内外のハブとなることを目指しています」と話す。

 実際、FRTデータセンターのユーザーの7割は首都圏の企業が占めており、FRT東京営業所長の安村廣樹氏は、「官公庁、自治体、大手・中小企業にまで幅広い業種のお客様にご利用をいただいています。沖縄と東京間は直線距離で1600km離れていますが、FRTでは設立以来この距離を逆に強みと捉え、BCPやDRを目的としたバックアップ拠点としての優位性を訴求しています」と話す。

 追い風となったのが、2016年に沖縄県が実現した東京とアジアをつなぐ大容量の海底ケーブルの沖縄への陸揚げだ。これによりFRTデータセンターは、都内にアクセスポイントを開設し、高品質で安価な独自のネットワークサービス(Orion-EXpress)を提供することが可能となった(イメージ図参照)。「首都圏とアジアの中間にシステムを置いて事業を手がけたいとする、企業からの問い合わせも増えており、言語対応を含めた運用体制の整備、強化に努めています」と安村氏は語る。

2020年、大手パブリッククラウド(東京リージョン)の配下に東京アクセスポイントを開設。都内データセンター~FRT間をセキュア且つ市場競争優位性のある価格を有した、イーサネット専用線サービス「Orion-EXpress」をリリース

地場産業との協業モデルにも注力しバーチャルデータセンターを提供

 離島では不利になりがちな電源の問題もFRTデータセンターに限っては心配無用だ。沖縄県内に5か所ある発電所をメッシュ構造で結び、各変電所から地中送電で電力の供給を受けているのだ。もちろんそのすべてのルートが冗長化されている。さらに特筆すべきがこのファシリティを支える高度な運用ノウハウの蓄積である。「FRTはデータセンター開設以来、重電設備の定期点検から日々の運用点検まですべてプロパー社員で行ってきました。したがって有事の際にも首尾一貫した対処を行えます」と砂辺氏は強調する。

 また、FRTが一貫して注力しているのが県内外の事業者との協業モデルであり、さまざまなパートナーをフロントとするバーチャルデータセンターの提供も担っている。「従来のデータセンターサービスのほか、テクニカルサポートやコンタクトセンター、監視サービス、インシデント対応窓口、セキュリティ対策などのサービスをFRT側からリモートで提供し、分業体制化を実現しています。これにより、ユーザー側の人材は自社ビジネスの従来業務に専念できるため、当社はその要所として今後も充実したマネージドサービスを提供していきたい」と安村氏は語る。

 今後に向けてはハイブリッドクラウド領域に向けたビジネス拡大を図るべく、既設の東京リージョンのアクセスポイントに加えて西日本にも同様のサービスを展開する計画だ。地方のデータセンター事業者との相互接続サービスの立ち上げを始め、プロキシミティ性(顧客に近い場所)の訴求により、新たな顧客層の取り込みを図っていく。

お問い合わせ先

ファーストライディングテクノロジー株式会社

http://www.firstriding.co.jp/

E-Mail:ml-eigyo@firstriding.co.jp

電話番号:098-942-6609(平日9:00~17:00)