2020年12月18日 06:00
異なる企業文化の融合が新規事業展開の原動力に
アット東京はセコムグループの一員であるが、もともとは2000年に東京電力によって設立された企業である。電力自由化に伴い電力事業が激しい競争にさらされる時代を見据え、新たな収益の柱としてデータセンター事業に目をつけたのだ。その後も安心・安全とコネクティビティを提供するデータセンター業界のリーディングカンパニーとして、事業の拡大を続けている。
このアット東京の成長の背景として、2012年にセコムが50%超を出資する筆頭株主になったことが挙げられるだろう。アット東京 取締役副社長の八木澤一郎氏は、「数十年といった時間軸で電力事業を計画・実行してきた東京電力の堅実かつ伝統的な企業文化と、ベンチャー的な気質を生かしてフレキシブルな投資判断を行うセコムの企業文化が融合し、上手く調和したことで、時代のニーズにマッチした新サービスをタイムリーに展開できています」と語る。
例えば、アット東京ならではのサービスとして注目されているものに「プレミアムコネクト」がある。Amazon Web Service(AWS) やMicrosoft Azure、Google Cloud PlatformTM、IBM Cloudといったメガクラウドに対して、アット東京のデータセンター内から広帯域(1Gbps~100Gbps)の光ファイバー専用線を用いて直接接続を行うもので、低遅延かつセキュアなアクセス環境を提供する。「メガクラウドへのダイレクト接続ポイントを有するデータセンターは、現時点では東京都内でも2か所しかありません。多くのお客様がクラウドネイティブなシステムへと移行していくなかで、このサービスは多くの競合がひしめくデータセンター業界において、アット東京の差別化要因になると考えています」(八木澤氏)
データセンターに設備を預けることなくクラウド接続が可能
このように卓越した通信サービスの拡充が、近年のアット東京における付加価値創造の特徴となっている。その意味でもうひとつ取り上げておきたいのが、「AT TOKYO Business eXchange(ATBeX)」というデータセンター内の相互接続プラットフォームサービスだ。これにより顧客は、アット東京のデータセンター内に設置した自社ラック間はもとより、同居する他社の設備ともL2ネットワークで相互接続するほか、マルチクラウド接続を行うことが可能となる。
さらに特筆すべきは、ATBeXや先述のプレミアムコネクトなどの通信サービスを単独でも利用できることである。「Cloud Direct Connect Pack」のサービスメニューの1つとして用意されている「FULL Pack(お手軽パック)」がそれで、「お客様拠点までのネットワーク回線を含めた接続環境を、アット東京がワンストップで提供します」と八木澤氏は説明する。要するにアット東京のデータセンターに自社設備を預けることなく、高品質なクラウド接続環境のみを利用することができるのだ。
アット東京の中央センターは単一施設として日本最大の床面積を持ち、地下に設置された変電所からダイレクトに電力を受けられることから、ミッションクリティカルな大規模システムを運用する企業や、さまざまなサービスプロバイダーの“Data Center in Data Center”として利用されてきた。こうした従来からのファシリティーの強さに加え、現在のアット東京はより“手軽さ”を前面に打ち出したサービスでも優位性を確立しつつあるわけだ。
さらに今後に向けて「電力系を中心とする地域のデータセンター事業者と提携し、ATBeXの全国展開を進めている過程にあります」と八木澤氏は語り、社会インフラとしての「グローバルハブ」を目指す考えだ。
お問い合わせ先
株式会社アット東京
E-Mail:at-sales@attokyo.co.jp
電話番号:03-6372-3500(平日9:00~17:00)