クラウド&データセンター完全ガイド:イベントレポート
The Green Grid Forum 2013
2014年3月25日 11:23
データセンターの省エネルギー化/高効率化に取り組む国際的な非営利団体であるThe Green Gridの日本支部が主催する“The Green Grid Forum 2013 - Japan”が7月に東京都内で開催された。テーマとして「日本支部5周年記念」と掲げられた今回は、ワールドワイドの活動に占める、日本の役割の重要性に焦点が当たっていた。
ベストプラクティスの確立
まず冒頭で基調講演を行ったグリーン・グリッドのエグゼクティブディレクタのマーク・シラー氏は、「IT資源効率の方向性(資源効率の高いデジタル経済の加速)」をテーマとした講演を行った。
同氏がまず指摘したのは“測定”の重要性だ。“正しく測る”ことは自然科学の基本であり、データセンターの効率向上の際にも基礎データとして「どこでどれだけの電力が消費されているか」を正しく把握することが出発点となる。
The Green Gridでは、データセンターの電力効率を示す指標として“PUE(Power Usage Effectiveness)”を定義したが、まさにこれが「測定のための標準ツール」として機能し、異なるデータセンター間でその効率性を比較するために使える汎用的な測定値を提供することになったのである。The Green Gridでは、2007年にPUEの概念を公表し、以後その認知拡大に取り組んできている。そして現在では、PUEに次ぐ、新たなツールの開発/普及にも力を入れている。その1つが、高効率データセンター実現のためのベストプラクティスである「データセンター成熟度モデル(DCMM:Data Center Maturity Model)であり、その成熟度を明確化するための「データセンター成熟度モデル測定ツール」だ。DCMMは2011年2月に発表されたものだが、実は日本ではその直後に東日本大震災が発生し、急速な電力事情の悪化が起こったこともあって、国内のデータセンターでは、新たな高効率化への取り組みの前に、まず直近の震災への対応として電力確保や災害復旧対策の充実などが緊急課題となったことから、グリーン・グリッド日本支部としてもあまり積極的な周知活動を行ってこなかったのだという。しかし、まもなくDCMMの第2版がリリースされる予定になっていることから、これに合わせて国内でも改めて認知拡大のための活動が行われる予定だ。
さらに同氏は、データセンターの高効率化が単にデータセンター運営者やIT業界のみの課題ではなくなっている点も指摘した。データセンターを利用するユーザー企業も含め、データセンターの事業採算性や投資回収率は企業経営上の大きな問題となる。また、限られた地球資源を効率よく利用することで持続可能性を確かなものにすることや、環境悪化に対する歯止めという意味から各国政府で規制が行われるようになってきていることからも、産業界のみならず政府・行政機関との国境を越えた緊密な協調が重要になってきている。国際的に整合性の取れた基準指標の確立も重要なテーマとなるが、こうした取り組みに対してもThe Green Gridのようなグローバルに活動する非営利団体が果たすべき役割は大きいだろう。
世界の中の日本の位置付け
グリーン・グリッド日本技術委員会による講演では、3人の講演者がそれぞれ「データセンター効率化の方向性~欧米海外動向~」というテーマに沿って講演を行った。
まず登壇したグリーン・グリッド日本技術委員会 代表を務めるインテルの田口 栄治氏が「資源効率への取り組み」の例としてフィンランドでの事例を紹介した(図1)。フィンランドでは、データセンター単体ではなく、システム全体でゼロエミッションを達成することを目指し、自然環境を活かした立地にデータセンターとオンサイトのバイオマス発電設備と水力発電設備を併設し、さらに寒冷な気候を活かして100%受動冷却で、外気空調や目の前の湖から得られる、深深度の冷たい湖水を利用した冷却、吸着式冷却や熱再生といった技術も併用する。これらのさまざまな施策が複合した結果が、「システム全体でゼロエミッション」という成果になっている。
データセンターの高効率化がすでにデータセンターだけではなく、発電時点での効率までを視野に入れる段階に至っていることは、今後もITインフラ/データセンターの需要は高まっていくことが予想され、高効率化なしでは破綻しかねないという認識があってのことだと思われる。
続いて、グリーン・グリッド日本リエゾン委員会代表を務める野村総合研究所の椎野 孝雄氏が米国の状況に関する報告を行った。同氏はまず、米国における省エネルギーへの取り組みとして最初期に開始された“ENERGY STAR”について紹介した。国内で発売される製品にもロゴが付けられていることも多く親しみのあるENERGY STARだが、開始されたのは1992年ですでに10年以上にわたる、息の長い取り組みとなっている。米国政府関係機関での機器調達の際の条件となっていることから急速に対応が進む一方、対象範囲の拡大も行われており、当初のIT機器から現在ではさまざまな家電製品まで網羅的に仕様が定められつつあるという。その結果、65のカテゴリーで4万以上の製品がENERGY STAR認定を取得する状況になっている。
ENERGY STARでは建物に対する認定基準も設けており、大都市のホテルなどでは誇らしげにENERGY STARのロゴを掲げている例も見かけるようになっている。現在はこのカテゴリーにデータセンターを含める方向で仕様策定作業が進行しているという。ENERGY STARプログラムを実施しているEPA(The United States Environmental Agency、アメリカ合衆国環境保護庁)では、“Understanding and Designing Energy-Efficiency Programs for Data Centers”という文書を2012年11月に公表しており、現時点でのデータセンターの高効率化に対するEPAの取り組みについて説明を行っている。その中では、データセンターの現状について「データセンターの消費電力量は一般的なオフィスの50倍以上」「全米の消費電力の1.7?2.2%をデータセンターが消費」「2000年から2005年にかけて、米国内のデータセンターによる消費電力量は倍増している」といったデータが紹介されている(図2)。また、データセンターの効率性を評価/認定するという観点から、データセンターで導入可能で効果が期待できるさまざまな高効率化手法についても整理されており、米国政府でもデータセンターの高効率化について本腰を入れて取り組み始めている状況が伺えるものとなっている。
最後に椎野氏は、米国の最新の電力政策について紹介した。オバマ政権が打ち出した「スマートな電力」という政策の中では、データセンターで実施可能な消費電力抑制策として「ピークカット」が挙げられているという。ただし、データセンターでは収容しているサーバーが実行する処理負荷の変動に応じて消費電力も大幅に変動するため、予定通りにピークカットできないことが考えられるうえ、米国の電力事情から急な供給増には対応できないとみられることから、現状でデータセンターのピークカットは実現不可能とみられているようだ。この辺り、日本よりも進んでいる部分がある半面、電力インフラの古さに起因する問題などもあり、単純に日米どちらが進んでいるのか、といった単純な評価は難しいことがよく分かる。
最後に、野村総合研究所の三崎 友雄氏が、ヨーロッパの状況についての紹介を行った。ヨーロッパは環境に対する意識が高いと単純に思い込みがちだが、同氏の各国事情の詳細な報告からはそんな単純な話ではなく、各国の固有の事情を踏まえてしたたかな選択を行っている、極めて政治的な動きが垣間見えてくる。たとえば、ドイツでは原発をすべて廃止するという方針を打ち出しているが、それによって失われる電力供給量は新規に12カ所の石炭火力発電所を建設することで補う計画だ。CO2排出量の問題はどうなった、といいたくなる状況だが、この背景には同国内に大量に埋蔵されている石炭を露天掘りで調達できるため、コストが低いという事情がある。とはいえ、将来的には石炭不足も想定されるが、その際には隣国のポーランドからの輸入でまかなわれるという。そのポーランドでは、国内初となる原発の建設を予定しているというので、要はドイツの原発をポーランドに移動する、という話のようにも見えてくる。また、ノルウェーは電力の9割を水力発電でまかなう一方、自国で算出する天然ガスはその多くをイギリスに輸出している。イギリスは産業革命以来の石炭利用が続いており、国内の発電所の約半分はいまでも石炭火力発電だという。こうした各国の動向からは、それぞれ自国でどのような資源が産出し、どのような形で外貨収入が得られるかという経済面を軸に、エネルギーの安定供給をできるだけ安価に実現するための政治的判断が主で、単純な自然保護的な発想だけで物事が動いているわけでないことが分かってくる。データセンターの高効率化を目指す取り組みが単にデータセンターのみに留まるものではなく、広く政治や経済と関連を持つことになるため、そうした部分にも目を配り、適切な対応ができる体制を構築することも重要であり、グリーン・グリッドにもそうした分野での取り組みも期待されることになるだろう。
モジュール型DCの効果実証
独立行政法人 産業技術総合研究所 情報技術研究部門の伊藤 智氏は、「次世代モジュール型データセンターの省エネ効果実証実験」と題する講演を行った。
実証実験は「NEDOグリーンITプロジェクト」として平成20年度?24年度にかけて、平成24年度予算17.2億円という規模で実施されたもので、すでに実験期間は終了している。本誌でも以前実験の概要は紹介しているが、その後実験成果についての整理も進んだようなので、改めてその内容を伊藤氏の講演に沿って紹介したい。
もともとは、「エネルギー利用最適化データセンター基盤技術の研究開発」という大きなテーマで、「クラウド・コンピューティング技術の開発」「最適抜熱方式の検討とシステム構成の開発」「データセンターの電源システムと最適直流化技術の開発」「データセンターのモデル設計と総合評価」といった個々の研究が行われていたのだが、この成果を統合し、実証モジュールを建設することで、その成果を実際に測定してみるという形に発展した。実験にはさまざまな企業や大学が参加し、それぞれの研究開発成果を持ち寄る形になっている。サーバー液冷技術はSOHKiら、外気導入技術は産総研、NTTファシリティーズ、高電圧直流電源技術はNTTファシリティーズと三菱電機、長崎大学、グリーンクラウド運用技術はNEC、データセンターモデリング・評価技術は産総研、筑波大学、NTTコミュニケーションズの成果となっている。さらに、比較対象として従来型のモジュール型データセンターも同時に建設し、可能な限りコンポーネントを共通化することで、新たに開発された技術の効率向上に対する寄与分を厳密に測定できるように配慮された。全体としての目標は、総消費電力を従来比で30%以上削減することだ。従来方式のモジュール型データセンターは、いわゆるコンテナ型の独立モジュールで、ラック前面をコールドアイル、背面側をホットアイルとして分離し、ラック列に並べて配置する空調機を設置している。一方、次世代モジュール型ではまずサーバーに内蔵される冷却ファンは撤去し、代わりにCPUやメモリの冷却のために新たに開発された液冷システムを装着している。さらにモジュール内部の冷却には、外気導入型の冷却システムを併用する。サーバーへの給電は高電圧直流で行われ、負荷に合わせて電源装置の運転数も増減させる。これはサーバーも同様で、負荷に合わせてサーバーを増減させ、不要なサーバーの電源はオフにするといった制御が導入されている。
サーバーは、1Uラックマウントサーバーが20台、ブレードサーバーが7筐体(筐体当たり8台のサーバーブレードを装着)、ネットワークスイッチが1台となっている。電源や冷却ユニットなどは、従来型では市販状態のまま、次世代型では独自の液冷システム/直流給電電源に交換するという形で基本的に同一モデルを使っているため、今回の実験で変更した部分に関する効果を明確化できるようになっている。
サーバーからの抜熱には、今回のプロジェクトで開発された液冷システムを採用している。まず、CPUの上に載っている既存の空冷用のヒートシンクと冷却ファンを取り外し、代わりに液冷冷媒を使った冷却ジャケットを被せてある。冷媒はNovecというフッ素系冷媒だ。半導体の洗浄にも使われるもので、万一漏出した場合にも電子部品などにダメージを与えることはない。冷媒はジャケットに接続された細いパイプを経由して床下に設置されたポンプ兼、熱交換器に送られ、そこで水と熱交換して循環する。熱交換器で暖められた水はモジュール外に設置されたクーリングタワーで外気冷却される。この方式の最大の利点は、CPUの発熱の大半を効率よく冷媒が奪うことだ。このため、サーバー内部の冷却ファンはすべて撤去してしまい、ホットアイルとコールドアイルの間の気圧差による気流制御だけで十分な冷却が可能になっている。また、CPUの発生熱の大半が冷媒によって効率的に床下に持ち去られることで、モジュール内に無駄な熱が拡散しないことも冷却負担の軽減に繋がっている。一方、冷媒を循環させるためのパイプの設置は、現在の高密度化したサーバーの内部にスペースを見つけることが難しいため、加工には工夫を要する。また、そもそも冷媒のためのパイプを接続する段階で、サーバーが頻繁に移動するような環境では使いにくいことも考えられる。
モジュール全体の冷却のためには、「グリーンユニット」と呼ばれる冷却装置が開発された。グリーンユニットは、「内部に気化冷却器、熱交換器、除湿加湿器を取り付け、外気の環境条件に応じてサーバーに必要な温度・湿度・風量の空気を送る装置」だと説明される(図5)。基本的な運転モードは、ホットアイルからの温風を熱交換器で冷却してコールドアイルに循環させるもので、熱交換器は外気によって冷却され、外気はモジュール内には入らない(図6)。外気温が22℃以下の場合はこのモードで運転できるという。一方、外気温が33℃以上の場合は気化冷却器を稼働させ、外気を気化冷却器で冷却してコールドアイルに導入し、ホットアイルの排気はそのままモジュール外に排出するという運転モードに切り替わる。外気温が22?33℃の間であれば、両モードの混合運転となる。
電源は直流給電方式を採用し、電圧は約380Vが使われている。さらに「電源アダプティブ制御技術」によって「IT機器の消費電力に応じて電源ユニットの運転台数を最適制御」している。これにより、常に運転効率の高い状態で電源ユニットを稼働させることができる。また、交流電源で必要になる位相のマッチングといった配慮は直流電源では不要なので、アダプティブ制御と直流電源の親和性が高い点もポイントだ。
結果として、今回の実証モジュールでは従来型に比べて30.4%の消費電力削減を達成することができたのだが、意外な問題として、この効果はPUEを指標とした場合には見えにくくなるという。今回の消費電力削減をPUEで表すと、1.33から1.16への12.8%改善という値になる。これは、電源を直流化して変換ロスを排除し、液冷システムを導入してサーバー内部の冷却ファンをすべて撤去するなど、サーバー自体の消費電力削減幅も大きいため、ファシリティ側の消費電力とIT機器側の消費電力の比であるPUEでは、実は全体としての消費電力量削減の効果をそのまま反映するとは限らないのである。これを踏まえて伊藤氏は「機能型PUE」という考え方を提案している。これは、装置単位で消費電力を分解するのではなく、機能単位での分割を行うべきだというもので、「情報処理機能による消費電力」を分母にすべきだという主張だ。つまり、たとえばサーバーの場合、プロセッサやメモリ、ストレージなどが消費している電力と、サーバーに内蔵された電源ユニットや冷却システムの消費電力量を分離して考えようということになる。この考え方自体は極めて合理的で、本来PUEが目指した効率性を的確に反映する良い指標だと思われるが、サーバー内部の消費電力量を正確に配分するための手法の確立が必要であり、即移行するのは難しそうだ。ともあれ、今回の実証モジュールの成果を新しい機能型PUEで評価すると、1.56から1.16への26%の改善という結果になり、おおむね総消費電力量の削減比率に見合う値になるという。
データセンター成熟度モデル
データセンター成熟度モデル(DCMM)についても、詳細を解説する講演が用意され、グリーン・グリッド日本技術委員会 副代表を務める日本アイ・ビー・エムの藤江 義啓氏が講演を行った。
そもそもの経緯として、DCMM(Data Center Maturity Model)は、2011年2月にThe Green Gridが「エネルギー効率と環境配慮性の改善を支援するデータセンター成熟度モデル」として発表したものだ。欧米では順調に認知が拡大し、すでに400以上のプロジェクトで活用されているとのことで、代表的な例としてはケーススタディとして詳細がドキュメント化されて公開されている。米e-Bayの事例が特に顕著な改善効果を出したとして周知されている。このドキュメントは日本語に翻訳されてホワイトペーパーとして公開される予定となっている。
DCMMが生み出された背景は、目標としたPUEと運用チームによって実測されたPUEとの間に乖離が見られたことで、「PUEの期待値と現状のPUEをつなげる“包括的な改善モデル”」として考案され、「データセンターのあらゆる局面にわたってエネルギー効率と環境配慮性を改善するための目標と方向性を提示するもの」となっている。
ところが、発表直後の2011年3月に東日本大震災が発生したことで、日本国内では「将来に向けた改善ロードマップよりもまずは目の前の運用継続が最優先」という状況になったことで、グリーン・グリッド日本支部としてもあまりDCMMに対する取り組みを積極的には行ってこなかったという。その状況も一段落し、だいぶ落ち着いてきたとみられることで、ワールドワイドに比べて約2年遅れた形になるが、このタイミングで改めてDCMMに対する国内における取り組みの強化が行われることになった。
DCMMでは、現状のベストプラクティスを定義し、電源、冷却、サーバー、ストレージ、ネットワークの各要件を含む今後5年間のロードマップを描くことが基本的なコンセプトだと藤江氏は説明する。5年というのは、データセンターの現実的な改善計画の期間としてはむしろ長期計画といえるレベルだろう。IT機器の急速な変化と、それに伴うファシリティ側におけるトレンドの変遷の速さを考えれば、それ以上先の動向を見通すのはまず不可能に思える。
DCMMでは、データセンターの成熟度レベルを「レベル0」から「レベル5」の6段階で定義している。レベル0が出発点で、「最小限/進捗なし」とされる。以後は、現時点でのベストプラクティスと定義されるレベル2と、そこに至る中間点である位置付けのレベル1、5年後のビジョンとされる最終目標のレベル5と、レベル5に至る過程なるレベル3、レベル4が定義される(図7)。なお、グリーン・グリッドのWebサイトでは「DCMMテンプレート」が公開されている。これは、大きく「ファシリティ」と「IT」に大別され、ファシリティでは「パワー」「クーリング」「その他・ファシリティ」「管理」、ITでは「演算」「ストレージ」「ネットワーク」「その他・IT」といった項目ごとに各レベルでの状況が明確化されたマトリックスとなっている。このテンプレートを参照することで、それぞれのコンポーネントについてどのような改善を行っていけば良いかが分かるわけだ。
成熟度モデルの中核ともいえるテンプレートだが、表形式で記載されているためもあってその内容はやや説明不足な感もあり、一読するだけでは分かりにくいという指摘もあるようだ。そこでグリーン・グリッドでは「成熟度モデルテンプレート解説書」を準備中で、各項目およびレベルごとに補足情報を解説した文書をリリースする予定だとの説明もあった。
また、成熟度モデルの各レベルが「現状のベストプラクティス」「5年後のビジョン」という形で定義されていることから、モデル自体も継続的にアップデートしていかなくては内容が古くなってしまうことになる。そのため、現在The Green Gridではバージョン2への改版作業をスタートさせたところだという。国内での本格展開は、タイミング的にも第2版からスタートすることになるかもしれない。ただし、現状のDCMMテンプレートはデータセンターのさまざまな要素について網羅的にまとめられたロードマップとしての意味を失っているわけではないので、まずは現状のDCMMテンプレートの内容を精査して、取り入れられる部分から段階的に着手するのも有効だろうと思われる。
The Green Grid Forum 2013は、国内においてグリーン・グリッドの活動状況報告の場でもあり、データセンターの高効率化に取り組む関係者が一堂に会するコミュニケーションの場でもある。今年の講演内容からは、東日本大震災以降の混乱状況からようやく脱し、長期的な視野に基づいて前進していける状況がようやくできつつあることを感じさせるものとなっていた。