クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

データセンターネットワークのITファブリックを自動化――ExtremeSwitching SLXファミリー

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2019年秋号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2019年9月30日
定価:本体2000円+税

データセンターネットワークの複雑化を解消し、ITオートメーションを実現

 機械学習やディープラーニング、マルチクラウドなど、さまざまなITトレンドやテクノロジーの登場により、データセンターネットワークは複雑化の一途を辿っている。運用担当者にとっては頭の痛い話だ。

 そうした複雑化するデータセンターネットワークの課題を、Extreme Networksでは3つのキーワードから解決に導く。キーワードは「Simple」「Intelligent」「Adaptable」だ。

 「Simple」はその言葉通り、ネットワークファブリックの構築をシンプルにすることだ。データセンターネットワークにおいてはEthernetファブリックが導入されるケースも多かったが、昨今ではIPファブリック、すなわちL2ではなくL3でのファブリックがトレンドとなっている。従来のEthernetファブリックにはスケーラブル面で弱点があり、Extreme NetworksではIPファブリックにフォーカスすることでより安定し、スケーラブルなネットワークアーキテクチャーを構築できるスイッチラインナップを充実させていく。それが、「ExtremeSwitching SLXファミリー」である。

 ExtremeSwitching SLXファミリーに搭載される機能が「Extreme Fabric Automation( 以下、EFA)」である。IPファブリックをプロビジョニングからモニタリング、分析まで自動化する機能で、アンダーレイだけでなくテナント設定の自動化も支援する。CRUD(Create、Read、Update、Delete)に対応し、より少ないオペレーションでのテナント設定を可能にする。これによりファブリックの規模に関係なく、追加ソフトウェアやサーバーを利用することなく、プラグアンドプレイでデータセンターファブリックを数秒で生成できるという。

 EFAは、対応するIPファブリックのスケールにより、ビルトイン構成と外部サーバー構成を選択できる。ビルトイン構成は24デバイスまでのファブリックスケールに対応し、EFAをスイッチに内蔵のユーザー利用可能なGuestVM(オープンKVM環境)にビルトインして利用する。サーバーを別途用意する必要なくEFAの機能を利用可能だ。24デバイス以上のファブリックスケールでは外部サーバー構成が推奨される。なお、どちらの構成でもEFA自体はコスト負担の必要なく利用できる。

 「Intelligent」は、オンボードでの可視化支援やアプリケーション分析、ML/AI連携を実現するための機能だ。スイッチに内蔵のユーザー利用可能なGuestVMはパケットプロセッサーと専用のアナリティクスパスで直結されており、これによりスイッチ上のトラフィックをダイレクトにキャプチャして分析することが可能だ。Flexible Streaming Optionsにより、キャプチャしたデータをプラットフォーム外部のアプリケーションに送り、さらなる分析、可視化、レポート、ログ作成、アーカイブなどを行うことも容易だ(図1)。

図1:ネットワーク可視化とサードパーティアプリケーション連携(出典:エクストリームネットワークス)

 なお、GuestVMはEFAや分析ツールなどのアプリケーションを自由にインストールして利用可能となっているが、KVM上のVMとして完全に独立したリソース(CPU、メモリ、ストレージ)を持っているため、システムVMに影響を与えることはない。

 可視化については、マネジメントツール「Extreme Management Center(以下、EMC)」が提供されている。ネットワークのプロビジョニング、管理、トラブルシューティング用のツールが1つの画面に統合されており、有線・無線ネットワーク、ユーザー、デバイス、アプリケーションのすべてを可視化するツールだ。暗号化されたアプリケーションも解析可能で、高いアプリケーション識別能力が特徴だ。

 EMCには機能として、多様な分析を行う「ExtremeAnalytics」、振る舞い検知などのAIによるセキュリティ機能を提供する「ExtremeAISecurity」、コンプライアンスを満たしたネットワーク運用を支援する「ExtremeCompliance」、可視化と制御による有線・無線ネットワークのセキュリティ統合を実現する「ExtremeControl」などが実装されている。

 3つめのキーワードが「Adaptable」だ。クロスドメインで連携可能な自動化やパブリッククラウド連携を実現するための機能だ。ネットワークだけでなくサーバーやストレージなど、他のドメインとも連携する機能を提供している。

 連携を実現するのが「Extreme Workflow Composer(以下、EWC)」だ。EWCは、広く利用されているStackStormオープンソースプロジェクトをもとに構築された自動化プラットフォームで、クロスドメインワークフローの自動化を提供。これにより完全なITオートメーションを実現する。

 例えば、EMCのExtremeAISecurityがネットワーク上でおかしな振る舞いなどを検知した際に、EWCで自動的にポートをシャットダウンする、フローを止めるといった連携を行うことが可能だ。なお、オープンソースのStackStormを利用することもできるが、Extreme Workflow Composerは機能強化され、サポートも付いていることが違いとなる。

Extreme Networksの次世代ルーティングプラットフォーム

 これらの機能を搭載する製品として登場するのが「ExtremeSwitching SLXファミリー」である。2020年には「Extreme SLX 9150(写真1)」「Extreme SLX 9250」が登場する。

 Extreme SLX 9150は、ブロードコムのTrident3 X5チップを搭載の1Uタイプ。1GbE、10GbE、25GbE、40GbE、100GbE のフォームファクタに対応する。Extreme NetworksではExtreme SLX 9150を、データセンターリーフ、テレコムモバイル、広域L2ネットワークなどにおけるコストメリットに優れた高密度1/10/25G次世代ルーティングプラットフォームとして位置づけており、2020年1Hにリリース予定だ。

写真1:Extreme SLX9150(出典:エクストリームネットワークス)

 Extreme SLX 9250は、ブロードコムのTrident3 X7チップを搭載の2Uタイプ。40GbE、100GbEのフォームファクタで、データセンタースパインスイッチとしても利用可能な次世代ルーティングプラットフォームと位置づけられている。こちらも2020年1Hにリリース予定となっている。

 Extreme SLX 9150、Extreme SLX 9250ともにここまで紹介してきた、データセンターファブリックを「Simple」「Intelligent」「Adaptable」にするための多様な機能を利用できる。

 なおすでにリリースされている「Extreme SLX9030(写真2)」は、ブロードコムのMaverickチップを搭載し、コストメリットに優れるスイッチだが、GuestVMは非対応となっている。

写真2:Extreme SLX9030(出典:エクストリームネットワークス)