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NTT Comが「Enterprise Cloud」を大幅拡充、基幹系システムへの対応を強化
ネットワークや管理機能も拡張
(2016/3/1 12:50)
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は1日、同社のクラウドサービス「Enterprise Cloud」の機能を大幅に強化すると発表した。
新たな機能として、ERPなどの基幹システムや社内業務システムなどのトラディショナルICTに対応したHosted Private Cloudの提供、IoTやビッグデータ解析などのクラウドネイティブICTに対応したエンタープライズ向け共有型クラウドの提供、クラウド内の柔軟なネットネットワークを実現するアジャイルネットワークの実現、データセンター間を10Gbpsで無償接続するグローバルシームレスなネットワークの提供、効率的な運用管理とガバナンスを実現するクラウドマネジメントプラットフォームの提供などがある。
NTT Comは、世界26カ国/地域において、高速、大容量のIPバックボーンを有し、アジアでは最大規模を誇る。また、データセンターであるNexcenterは、合計37万2000平方メートルのサーバールームを持ち、そのうち、海外が24万5000平方メートルを占めるなど、海外展開を積極化させている。これらの基盤の上で提供されるクラウドサービスがEnterprise Cloudであり、世界11カ国14拠点に基盤を展開しているところだ。
「今回の機能強化は、基幹システムのクラウド化を強力に支援するとともに、デジタルビジネスにも対応する機能を提供。オンプレミス同等の堅牢性や安全性、デジタルビジネスに対応する俊敏性、柔軟性といった、双方のニーズをひとつのICT基盤で満たすものになる」(NTT Com クラウドサービス部ホスティングサービス部門の栗原秀樹部門長)とした。
高い信頼性を持つHosted Private Cloudを、オンデマンドで従量課金に対応したベアメタルサーバーのほか、VMware vSphereおよびMicrosoft Hyper-Vに対応するマルチハイパーバイザーで提供。既存のソフトウェアライセンスを維持しつつ、オンプレミスで利用していた既存の基幹システムを設計変更なく、クラウド環境へ移行できる。
「クラウドのメリットを十分に生かし切ることができるものであり、VMware vSphereおよびMicrosoft Hyper-Vの技術進化にあわせて、サービスも進化することになる」と語った。
またOpenStackの採用より、業界標準のオープンなAPIを装備した共有型クラウドを提供。さらに、オープンソースのPaaS基盤ソフトウェア「Cloud Foundry」を採用した業務アプリケーション開発基盤を提供する。エンタープライズレベルのサービス品質と信頼性を確保しながら、アジャイル型、DevOps指向などの業務アプリケーションの開発、運用を実現するほか、ほかのサービスとの連携を可能とすることで、特定のクラウド基盤技術へのロックインの不安をなくし、IoTなどのデジタルビジネスを迅速に展開できるという。
「既存のトラディショナルICTを、オープンアーキテクチャを活用した共有型クラウドと接続し、クラウドネイティブ対応をしていくことができる。企業のデジタルトランストフォーメーション化を支援したい」とした。
あわせてSDNの活用により、Hosted Private Cloudと共有型クラウドを、レイヤ2接続による同一ネットワーク上でシームレスに提供。オンプレミス上の複雑な構成のネットワーク環境、仮想サーバーやベアメタルサーバーなどと、ファイアウォールやロードバランサーなどのネットワーク機能を組み合わせた柔軟性の高いネットワーク環境で利用できる。さらに、オンプレミスで運用しているシステムの、クラウド移行時に発生する設計変更作業が不要になり、設計工程の約30%を削減できるという。
「多段のネットワーク構成も自由に作成でき、自由なIPアドレッシングも可能になる。オンプレミスシステムのネットワーク構成をクラウドにそのまま適用可能になり、クラウドの押しつけのネットワーク構成を採用する必要がない。クラウドへのマイグレーションを加速できる」と述べた。
そのほか、Enterprise Cloudのクラウド間拠点を、10Gbpsのベストエフォートの閉域ネットワーク網によって無料で接続するほか、Enterprise CloudとNexcenterの間を低価格で接続するサービスを提供する。価格は今後発表する。「世界中に分散するIoTデータの収集など、増大する拠点およびシステム間の通信を、無料あるいは低価格で実現できる」とした。
さらに、複数のクラウドサービスを含む効率的な運用管理の実現に向け、ポータルサイトから一元的に運用管理が行えるCloud Management Platform(CMP)を提供。セキュリティポリシーの統一や、システムの標準化により、ITガバナンスを強化できるとしている。
機能強化による新サービスは3月1日から、日本で提供を開始し、英国、米国、シンガポール、オーストラリア、香港、ドイツの合計7拠点において、2016年中に順次展開することになる。
なお、今後のEnterprise Cloudの強化として、SDxの活用により、データセンター、ネットワーク、クラウドをグローバルに統合するほか、SAP HANAなどのエンタープライズ向けラインアップの拡充、パートナー向けユーザー管理機能の提供、CMPにおけるマネジメント機能の自動化および機能拡充を予定。さらに、OpenStackをはじめとする各コミュニティとの連携強化ともに、業界の最新技術の取り込みを行っていくとした。
同社では、パブリッククラウドサービスに位置づけているCloudnを、今後も継続的にサービスを提供していく考えや、データセンターへの投資を継続していく姿勢も強調した。