ニュース

F5ネットワークスジャパン、AIセキュリティを大幅強化する新機能を発表

AIエンジニアの教育・人材開発プログラムも提供開始

 F5ネットワークスジャパン合同会社は28日、2026年の事業戦略に関するメディアラウンドテーブルを開催した。当日は、国内のAI利用を取り巻くトレンドや課題について説明するとともに、新たにAIアプリケーションのセキュアな運用をサポートする機能および次世代を担うエンジニア育成に向けた教育・人材開発プログラムを提供開始することを発表した。

 まず、F5 アジア太平洋・日本担当シニア・バイスプレジデントのアダム・ジュッド氏が、日本のAI市場の現状について解説。「世界的にAI市場が急速に成長している中で、日本でも昨年5月にAI推進法が施行されたことを機にアナログ規制の見直しが進み、AI導入率が急増している。特に製造業や金融業においては、AIの活用によって人手による業務のボトルネックが解消可能になる。しかし、日本ではAIの利用促進に向けて、2つの課題が残っている。1つ目が『AIスキルを持った人材の不足』、2つ目が『AIを活用した攻撃に対するセキュリティ』である」と、日本が抱えるAI利用の課題を指摘した。

F5 アジア太平洋・日本担当シニア・バイスプレジデントのアダム・ジュッド氏

 そして、これらの課題に対する解決策として、AIセキュリティを大幅に強化する新機能「F5 AIガードレール」と「F5 AIレッドチーム」の一般提供を開始するとともに、AIエンジニアの育成支援プログラム「F5 Academy日本版」をローンチすることを発表。ジュッド氏は、「当社の最新テクノロジーを活用し、日本のAIインフラのセキュリティを担保する取り組みを推進するとともに、日本の現役エンジニアおよびエンジニアを目指す人たちに向けて、AIのトレーニングを提供していく」との方針を示した。

 新機能の「F5 AIガードレール」は、AIモデルとAIエージェントがユーザーやデータとどのように相互作用するかを定義・監視し、攻撃から防御する機能。具体的には、月間1万件超の最新攻撃パターンを活用し、プロンプトインジェクションやジェイルブレイクなどのランタイム脅威からAIを防御。また、AIデータからの機密情報漏えいやポリシー違反をランタイムで検知し、未然に防止する。さらに、規制遵守を確保し、有害な出力を防ぐことで、モデルとエージェントの権限を適切に制御する。

「F5 AIガードレール」の概要

 F5ネットワークスジャパン カントリーマネージャーの木村正範氏は、「AIモデルとAIエージェントは、これまで大規模に展開された技術の中で最も速いペースで導入が進んでいる一方で、どの技術よりも脆弱であるのが実情。また、AIモデルが有用性を獲得するためには、企業の機密データへのアクセスが必要となるが、その高度なアクセス権限は従来のセキュリティ原則に真っ向から反することになる。こうした中で、従来型のセキュリティツールでAIモデルやAIエージェントの防御は不可能であり、AIセキュリティに特化した新たなガードレールの導入が必要不可欠になると考えている」と、「F5 AIガードレール」の重要性を強調した。

F5ネットワークスジャパン カントリーマネージャーの木村正範氏

 「F5 AIレッドチーム」は、多数のAIエージェントに命令を下し、明らかな脅威から隠れた脅威までを検出、さらにそれらに対して新たなガードレールを適用する機能。世界最先端のAI脆弱性データベースを活用し、毎月創出される1万以上の攻撃プロンプトで定期的に学習。高度な脅威インテリジェンスを通じて、防御力を進化させ、よりスマートで強靭なAIシステムを実現する。また、定型的な脆弱性の発見を自動化することで、チームの時間とリソースを解放し、より高度で複雑な脅威への対応に集中できる体制を構築する。

「F5 AIレッドチーム」の概要

 脅威が発生する原因と経路を明確に解説・追跡。効率的なダッシュボードやサードパーティのSIEM/SOAR統合によって、脅威の可視化と迅速な対応を実現する。さらに、攻撃面全体の広範なトレンドを把握し、各エージェントがどのように活動したかを詳細に追跡。深層レベルの知識と洞察を得ることで戦略的な防御を強化する。

 「今回の新機能は、当社のプラットフォーム型ソリューション『Application Deliveryand Security Platform(ADSP)』で提供され、AI TRiSM(Trust/Risk/Security Management)機能を強化するものとなる。これによって、AI導入における検討事項に幅広く対応することが可能となり、パートナーとともにエンタープライズ企業のさらなるAI利用促進をサポートしていく。また今後は、CalypsoAIの導入ノウハウも積極的に展開していく」との考えを述べた。

AI TRiSM(Trust/Risk/Security Management)機能の強化

 AIエンジニアの育成支援プログラム「F5 Academy日本版」は、日本のITコミュニティへの長期的なコミットメントの一環として、1月28日から無償でサービス提供を開始した。同プログラムでは、エンジニアが将来に必要な高度なアプリケーションセキュリティとAIレディネス(AI導入準備)という重要なスキルを習得するための道筋を提供する。このプログラムを履修することで、エンジニアはアプリケーション配信、セキュリティ、そしてAIレディネスをいかに統合するべきかを習得し、日々の業務に即座に活用できる実践的な専門スキルを身につけることができる。

「F5 Academy日本版」のプログラム概要

 同社では、「F5 Academy日本版」を通じて、2028年までに1000人のAIエンジニアの育成を目指しており、ポスト改革デジタル経済を支える人材基盤の構築を支援していく考え。