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NTT Comがクラウド事業の強化を継続、「2015年度にはクラウド関連事業の売上高を2000億円以上に」
(2013/4/18 16:18)
「(データセンタービジネスを含めた)クラウド関連事業を、2015年度には少なくとも2000億円以上に拡大したい」――。NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は18日、クラウド/データセンター事業に関する説明会を開催。代表取締役社長の有馬彰氏が、2011年度には840億円だったこれらの事業を、大幅に拡大するとの意向を示した。
NTT Comがこれらの事業の拡大を目指す背景には、2000年には全体の91%を占めていた音声/ネットワークからの収益が、2011年時点では64%にまで落ちてしまったことがある。金額にして4600億円ほど下がったこれらのANAをカバーするためには、新たな事業を創出する必要があり、その核としてクラウド関連ビジネスが脚光を浴びるようになった、というわけだ。
一方、市場環境が劇的に変化する中で、NTT Comの顧客の経営者は、海外ビジネスへの展開、天災をはじめとするさまざまなリスクへの対応など、いくつもの課題を抱えるようになった。これらを解決するためには、ICTによる支援が欠かせないことから、有馬社長は「現状では拠点ごとに展開されているシステムをクラウドで統合し、グローバルで最適化したICTシステムの構築をお手伝いするとともに、トータルのアウトソーシングをおまかせいただけるようにサービスを整えていく」と述べ、クラウドを中心としたトータルICTアウトソーシングによって、顧客企業の経営改革に貢献したい考えを示している。
クラウドサービスの強化にあたっても必要となるデータセンターは、2013年3月末現在で138拠点を構えているが、これを近々には144拠点へ増強するとのこと。国内でも、東京第6データセンターを開設するほか、香港フィナンシャルデータセンター、マレーシアのサイバージャヤ4 データセンターなどを増設する予定。特にマレーシアについては、費用が安く済むことに加えて、DRなどの観点から需要が高まっているという。
クラウドサービスの拠点も2013年末には9カ国11拠点と、「世界大手の競合と比べても匹敵する数」(有馬社長)にまで拡大される予定で、今後も強化・拡充を積極的に行う姿勢を明らかにした。
コモディティ化によって、クラウドビジネスは価格面での値下げ圧力が強く、競合とも価格争いになる傾向が見られるが、競争力のある価格設定を続けるほか、「通信事業者が構築したクラウド」である点を強みとして、全面的に闘っていく考え。特に、2012年6月にスタートしたプライベートクラウドサービス「Bizホスティング Enterprise Cloud」は、OpenFlowを利用したネットワーク仮想化に強みを持っており、これを前面に押し出してサービスを訴求する。
また、Bizホスティング Enterprise Cloudの設定・管理を行う「カスタマーポータル」をほかのサービスとも連携させ、これを中核として自社の各種サービスをコントロールできるようにしていくとのビジョンを、あらためて示している。