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日本HP、高性能オールフラッシュストレージ「HP 3PAR StoreServ 7450」

SSDに一から最適設計

 日本HPは12日、エンタープライズ向けストレージ製品「HP 3PAR StoreServ」の新モデルとして、独自の最適化技術を搭載した高性能オールフラッシュストレージ「HP 3PAR StoreServ 7450」を発表した。また、「Software-Defined Storage(ソフトウェア定義によるストレージ)」のラインアップを強化し、重複排除バックアップの仮想化ストレージアプライアンス「HP StoreOnce VSA」も発表した。

最適設計されたフラッシュストレージ

3PARと他社製品の比較。共通のアーキテクチャとテクノロジを採用し、統合運用管理が可能な点が3PARの強みという

 昨今、ストレージの領域では仮想化やデータ量増大が進む中、性能に関する課題が表面化している。そこで大幅な性能向上を見込めるフラッシュストレージが注目を集めている。しかし、「これまでのフラッシュストレージ製品は、高い性能を発揮するものの、エンタープライズ向けの信頼性やコストの要件を十分に満たしていない」(エンタープライズグループ事業統括 HPストレージ事業本部 事業本部長の福岡英治氏)とし、多くのユーザーがフラッシュストレージ導入を検討しながら導入がなかなか進まないのも、「性能」「コスト」「信頼性」のすべてを満たす製品が存在しないからだと指摘する。

 例えば、日本HPも他社もHDD用に作られた筐体にSSDを積んだストレージをリリースしている。しかし「従来型ストレージはHDDを最適化するためのアーキテクチャを採用しており、フラッシュの特性を引き出すようには作られていない」という。

 HP 3PAR StoreServ 7450では、3PARアーキテクチャによりエンタープライズ基盤として利用可能な高信頼な機能を備えつつ、フラッシュに一から最適化したアーキテクチャを採用。既存モデルに比べ、40%向上した処理性能・55万4000IOPSをわずか遅延0.7msで提供する。同時に価格性能比も60%向上したという。

 さらにもう1つ、日本HPならではの強みとして「Polymorphic Simplicity」を説明する。「例えば、EMCの場合、ミッドレンジはVNX、ハイエンドはVMAX、フラッシュストレージはXtremIOと、異なるアーキテクチャ、異なるテクノロジが採用され、別々の運用管理をしなければならない。当社はミッドレンジからハイエンド、フラッシュストレージに至るまで共通のアーキテクチャとテクノロジを採用し、統合運用管理を実現している。これが当社のストレージ戦略“HP Converged Storage”における“Polymorphic Simplicity”というビジョンとして、競争優位性を生み出している」。

ミッドレンジからハイエンド、フラッシュストレージに至るまで共通のアーキテクチャとテクノロジを採用
HP 3PAR StoreServ 7450

 このほか、新ソフト「Priority Optimization」により、性能QoS機能を提供。リリースを最大限利用しながら、テナントやアプリケーションごとに異なるサービスレベルに対応し、性能劣化せずにマルチテナンシーを提供する。また保存データの暗号化やOpenStackにいち早く対応している。

最大性能を引き出すための3PAR先進テクノロジー
SLAを保証するマルチテナントストレージを提供
3PAR ASICにより“ゼロデータ”の書き込みを排除

 ラインアップは、2ノードモデルと4ノードモデルの2種類。前者はコントローラーノードを2つ持ち、キャッシュ容量は64GB。最大28万IOPSを遅延0.7ms以下で実現。3000MB/sの最大スループットを発揮する。一方後者はコントローラーノードを4つ持ち、キャッシュ容量は128GB。最大55万4000IOPSを遅延0.7ms以下で実現。6000MB/sの最大スループットを発揮する。搭載できるSSDは両モデルとも100GB/200GB SLC、400GB MLC。価格はそれぞれ1340万4000円(税別)から、2646万8000円(同)から。7月12日より販売する。

主なスペック

VMware上で動作する仮想化ストレージアプライアンス

HP StoreOnceのラインアップ

 HP StoreOnce VSAは、VMware上で動作する仮想化ストレージアプライアンス(VSA)。専用ストレージハードウェアがなくても、フル機能の重複排除バックアップストレージサービスを仮想サーバー上で提供できる。サーバーの余剰リソースを有効活用し、省スペースで低コストのバックアップストレージ環境を構築できるという。「HP StoreOnce」共通のアーキテクチャにより、「HP StoreOnce Backup」アプライアンス製品との連携運用が可能で、企業全体にわたるバックアップ運用の効率化が図れる。

 VMware 5.x上で動作するVSAとして、使用可能容量10TBまでの重複排除バックアップストレージの使用権(3年)を提供。専用ストレージハードウェアは不要で、幅広いx86サーバーと内蔵・外付けストレージを利用できる。バックアップソフトは、「HP Data Protector」「Symantec NetBackup」「Symantec BackupExec」「Veeam」をサポート。低帯域複製および連携重複排除「HP StoreOnce Catalyst」により「HP StoreOnce Backup」アプライアンス製品との連携運用が可能。

 価格は45万円(税別)。7月23日より販売する。

川島 弘之