NTT Com、クラウド時代に対応したVPNサービス「Universal One」
複雑なVPNメニューをシンプル化、グローバル利用も一元対応へ
NTT Comの取締役 ビジネスネットワークサービス事業部長、原隆一氏 |
NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は19日、クラウドサービスの利用に最適化されたVPNサービス「Universal One」を発表した。品質・価格の異なる4つのプランから選択するだけで、迅速に導入できるほか、バックアップ回線もセットで提供するという。提供開始は4月を予定している。
NTT Comの取締役 ビジネスネットワークサービス事業部長、原隆一氏によれば、Universal Oneで目指すポイントは3つあるという。1つ目はまず「シンプル」という点で、原取締役は従来のVPNメニューについて、「当社だけでも200を超えるメニューがあり、わかりにくくなっていた」という点を指摘する。Universal Oneではこの点を踏まえ、プラン、帯域、オプションを選ぶ3ステップの“イージーオーダー”型を採用。標準メニューを、品質、価格の異なる4つのプランにシンプル化して提供する。
Universal Oneの標準メニュー | 3ステップで構成が完了するシンプルさが売りという |
2つ目のポイントは「クラウド」。従来のVPNを利用していた場合、クラウドサービス活用のためには、アプリケーションゲートウェイの設置など、ネットワーク側で設計・設定を行わないとならず、その設計のためのスキルと期間が必要だったほか、信頼性を上げるために回線二重化を導入しようとしても、さまざまな手間が必要で、非常に煩雑だったという。
しかしUniversal Oneでは、クラウドサービスを利用するためのインターフェイスをあらかじめ盛り込んでおり、面倒な設定をすることなく、クラウドをすぐに利用可能。さらに、バックアップ回線を標準メニューの中に組み込み、複雑な設計をすることなく回線の二重化を実現している。また、これまで別々だったクラウド、ネットワークのサポート窓口も一本化され、ユーザー企業の負担を軽減した。
加えて、「これからは、エンドトゥエンドでお客さまの環境が使えているかを、プロアクティブに監視・運用していくことがキーになる」(原取締役)点を考慮し、ユーザー企業側に設置する端末「Universal Oneターミナル」により、クラウドから端末までのシームレスな保守を実現するとしている。
クラウド対応にも力が入れられており、複雑な設定をせずにクラウドを利用できるほか、回線二重化も標準で提供される |
最後の3つ目は「グローバル対応」で、現在は、国内、海外で分かれて行っているサービス提供を、Universal Oneではワンストップ化する。具体的には、海外でも国内と同様の4プランによるシンプル化を行うほか、申し込み、契約、請求を国内外で一本化。さらに、故障対応の窓口についても一本化するとともに、日本語、英語の両言語に標準対応するとのことで、原取締役は「ネットワークは、シームレスにつながっていて、サポートや契約も1つであるべきだ。グローバル環境を標準としたワンストップサービスにしていく」との意気込みを示した。こうしたグローバル対応は、9月以降に提供される予定。
なお、Universal Oneの標準メニューは単純化されているが、現行のサービスで提供されていて、標準メニューで足りない部分はオプションで補うため、ユーザーのニーズには柔軟に対応できるとのこと。例えば、エンドトゥエンドで帯域を占有する「イーサ専用オプション」、個別のコンサルティング、パフォーマンス管理、ウイルスチェックなどのセキュリティ機能といったオプションが、順次提供されていく予定である。
コストについては、複雑なネットワーク設計が不要になるなど、導入がシンプルになるほか、利用するプランもシンプルになるため、削減が見込めるとのこと。レイヤ2タイプの価格例は、メイン回線にフレッツアクセスを用いる「ベストエフォートプラン」が2万2890円/月。メイン回線にイーサアクセスを用いるプランでは、100Mbps契約の場合、「バーストプラン」が33万6000円/月、「ギャランティプラン」が75万6000円/月、「プレミアムプラン」が147万円/月となっている。
また、既存のVPNサービスメニューも当分は併売するが、新規・更改案件についてはUniversal Oneを推奨し、乗り換えを推進していく考え。そのために、既存VPNサービスとの接続を7月に開始するとのことで、NTT Comでは、2011年度に50億円、2012年度には150億円の販売を目標としている。
標準メニューはシンプルだが、オプションによって、多様なニーズに対応する | 料金の例 |