週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】コンテナ型データセンターとは

 物資の陸上・海上輸送に用いられるコンテナ(もしくはコンテナに近似した構造物)を躯体とするデータセンターのこと。一般的なデータセンターは地震や火災への対策として、鉄骨造りの頑強な構造を採用するが、コンテナ型データセンターは建設工期の短さ、立地の自由度などのメリットがあるとされる。

 検索エンジン最大手のGoogleが、コンテナ型データセンターを実用化していると話題になったのは2000年代中盤から後半のことであった。Googleが対外的に正式公表したのは2009年だが、それに遡る2005年の段階ですでに運用を開始していたという。この段階では、サーバーの稼働安定性の追求策として、あるいはコストパフォーマンスの観点から、先進性が評価された。

 対して、2020年代中盤のコンテナ型データセンターを巡っては、AI対応の側面から語られる機会が多い。2022年11月のChatGPTリリース以降、IT業界には生成AIブームが巻き起こっているが、そのAIを稼働させるバックグラウンドとして、莫大な計算リソースが必要になってくる。つまり、高消費電力で、かつ物理的な重量も嵩むGPUサーバーを、データセンターに収容しなければならない。

 しかし既存のデータセンターでは、耐荷重量や電力供給量などの面で、ハイエンドGPUサーバーを動作させられない恐れがある。一部では施設の改装が進められているが、根本的な対応には難があると言われ、かといってAIサーバー対応のデータセンター新築には時間がかかる。一般論として、データセンターは建設工期だけでも最低2年、用地取得も含めればそれ以上の時間を要する。

 コンテナ型データセンターは露天に敷設するという構造上、セキュリティ面での特別な配慮も必要と考えられる。しかし1つ1つの規模が小さく、半年程度で建設できる。急激なAI利用増を背景に、とにかく素早く運用を開始したいという顧客に応えるソリューションとして、期待が集まっている。