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Wrike、プロジェクト管理からAI活用基盤への進化を訴求 AIエージェントの活用も促進

 Wrike Japan株式会社は7日、AIエージェントとエージェントビルダーを日本でも本格的に販売すると発表した。いずれも10月に開催した年次カンファレンス「Collaborate 2025」で発表したもので、日本ではプロジェクト管理ツールのイメージが強いWrikeのソリューションだが、全社的なコラボレーションの促進、AIを活用した意思決定の強化にも活用できることをアピールしていく。

 Senior Regional Director,APJの三浦義弘氏は、「従来は業種を問わずに利用できることをアピールしてきたが、今後、ターゲットを明確にしていく。製造業、マーケティング分野での活用に適していることをアピールする」と説明した。

 また、来日した本社CEOのトーマス・スコット氏は、「AI同士が自動連携できれば価値が上がると考える人が多くいることが、我々の調査で明らかになったが、それを実現するためにはデータの文脈情報を整えることが必要になる。我々はそれを実現できる」と、AI同士の連携を実現するためにWrikeが大きく寄与できることをアピールした。

Wrike Inc. CEOのトーマス・スコット氏
Wrike Japan株式会社のSenior Regional Director,APJ、三浦義弘氏

 Wrikeの日本での現状について三浦氏は、「当社が提供できるバリューを4つのステップに分けて紹介すると、ステップ1は個人の能力を最大化すること。生産性を20%から30%、飛躍的に向上することができ、従業員のエンゲージメント強化などにつながる。ステップ2はチームの生産性向上で、キャンペーン配信の3倍速化、最適化されたワークフローなどを実現する。日本ではこのステップ2までを達成している企業が多い」と説明する。

 「Wrikeのバリューはステップ3、ステップ4でさらに高まる。ステップ3では、全社横断的なコラボレーションの促進を実現し、市場投入までのスピードが倍速になり、世界標準のプロセス統一などを実現する。日本でも、大企業ではステップ3まで実現しているところが増えてきている」(三浦氏)。

 これは、Wrikeがこれまで主にプロジェクト管理ツールとして利用されてきたことが要因だ。

国内でのWrikeユーザーは、ステップ2までにとどまっている企業が多いという

 さらに新しいステップ4では、AIを活用した意思決定の強化を実現する。データ資産を部門横断で即活用可能にすることや、過去データに基づく先見的な戦略洞察の実現などができるという。

 10月の年次ユーザーカンファレンス「Collaborate 2025」では、AIを活用した新機能、エンタープライズプラットフォームの機能強化を発表した。これらがステップ4にあたるものだ。具体的にはチームのワークフローの自動化、意思決定の迅速化、そしてアイデア創出から実行までの一連の業務連携を支援し、業務関連の記録を一元的に管理し、インテリジェントで統合されたシステムを構築することを目指すものだ。

 自然言語を使ってカスタムAIエージェントを設計・展開できるノーコードインターフェースである「エージェントビルダー」により、ビジネスユーザーがAIを直接活用できるようになる。技術的な知識を持つユーザーと、そうでないユーザーの両方が高度な自動化を利用できるよう考慮し、チームがエージェントの動作方法、持つべきコンテキスト、そして実行するアクションを完全に管理できるようにする。

 また、エージェント導入を加速させるため、Wrikeは日常的な業務を自動化し、即座に改善を実現する既製のエージェント群をリリースする。受信タスクを自動的に分類し、優先順位を設定する「順位付けエージェント」、プロジェクトを監視し、潜在的な問題が深刻化する前に警告する「リスク監視エージェント」、リクエストの提出とフォーム入力を効率化する「受付エージェント」などだ。

 これらのエージェントは、即時の効率向上と、顧客が独自のカスタムエージェントを構築するための基礎となるフレームワークの両方を提供する。すべてのチームがアイデアから成果へとより迅速に進むように支援していく。

 米本社のVP Product Marketing/GTMのクリス・ミルズ氏は、「我々が提供するエージェントビルダーは、カスタマイズされたAIエージェントを自社のために作ることができる。それをワークフローの中に埋め込んで、組み込みで使っていくことができる。これによって、非常にシンプルだけれども時間がかかるようなタスクの自動化が可能になっていく。これまではどうしても人に依存していたところが自動化できるようになる。これはWrikeにとってのオートメーション2.0と言える」とアピールした。

Wrike Inc. VP Product Marketing/GTM クリス・ミルズ氏

 また、スコットCEOは、今後増加する企業でのAI活用について、「業務のために、『信頼できる情報源』が必要となる。現代の業務は、整然としておらず、十数種類ものツールに業務と情報が分散し、バラバラでサイロ化されたデータが多数存在する。AIで活用すべき土台がバラバラの状態となっている」と指摘。

 「この問題を解決するためには、技術面、人間のチェンジマネージメントが必要となる。Wrikeでは、複数のプラットフォーム、人間の介在という問題をまとめて、AI活用が十分に進まないという問題にアプローチしていく」と強く訴えた。