週刊データセンターWatch:

「洋上浮体式データセンター」の実現なるか、横浜市で2025年秋から実証実験

 世界初となる「洋上浮体式データセンター」の実現に向けて、横浜市や日本郵船株式会社など5つの組織間で実証実験に関する覚書が締結された。コンテナ型データセンターや太陽光発電設備を組み合わせ、再生可能エネルギー100%で稼働するデータセンターを構築。2025年秋ごろをメドに、塩害耐性や稼働安定性の確認を開始するとしている。

「洋上浮体式データセンター」実証実験の施設イメージ

 覚書を締結したのは、日本郵船株式会社、株式会社NTTファシリティーズ、株式会社ユーラスエナジーホールディングス、株式会社三菱UFJ銀行、横浜市。実験施設は、「ミニフロート」と呼ばれる浮体式係留施設上に構築される。

 今回の実験では、横浜市の大さん橋ふ頭に設置されている縦25m×横80mのミニフロートを活用。太陽光発電設備と蓄電池設備を敷設し、コンテナ型のデータセンターを再生可能エネルギー100%で稼働させる。

 データセンターの需要はDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などによって拡大しているが、広大な敷地をいかに確保するかという課題がある。また災害耐性の強さや、大消費地に近い立地なども重要視される。洋上浮体型データセンターが実現すれば、こうした問題の解消に加え、洋上風力発電との効率的な連携も期待される。

 本実験では、洋上データセンター事業を開発すべく日本郵船がプロジェクト全体を統括。NTTファシリティーズは施設設計、運用検証などを担当する。再生可能エネルギー発電事業を手がけるユーラスエナジーホールディングスはオフグリッド(電力会社の送電網に接続されていない)型データセンターの技術検証、三菱UFJ銀行は金融支援、横浜市はカーボンニュートラルの推進をはじめとした各種検討を行う。