週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】ファシリティとは

 英語表記は「Facility」で、一般的には施設、建物、設備などの物的資産のこと。データセンターにおけるファシリティの定義もほぼ同じだが、建造物の堅牢性、空調のための機器、セキュリティ設備の充実度など、“機器の安定稼働に必要な設備”との文脈で用いられるケースがやや多いか。ちなみに、オフィスや店舗などビジネス活動上必要な設備の維持管理を経営的視点で捉えることは「ファシリティマネジメント」と呼ばれ、データセンター業界外でもよく耳にする言葉である。

 サーバーやルーターといったIT機器を、長時間に渡って、かつ効率的に安定稼働させることがデータセンターにとって最大のミッションである。とはいえ、各種機器を広い部屋にただ置いて、電源を繋ぐだけではその役割を果たしきれない。建物が地震や火事に強いこと、停電が起きづらい電線構造になっていること、機器を物理的な盗難から守れるだけの警備システムなど、さまざまな設備が必要になってくる。

 技術進化や時代の変化に伴って、ファシリティに求められる品質もまた当然変わっていく。例えば入退館のセキュリティは、専用キー方式から指紋や顔などの生体情報に基づいた認証へと拡大していくと予想される。

 そしてもう1つがAIへの対応だ。2022年11月のChatGPT公開以来、生成AIが爆発的なブームとなり、そのインフラとしてのデータセンターに対する品質要求基準は上がり続けている。高発熱で消費電力の大きいGPUサーバーを安定稼働させるためには、水冷設備が必須だという声も多い。既設のデータセンターは、水冷のためのパイプ配管を工事で追加するなど、ファシリティの更改・充実に向けた努力が一層必要になっていきそうだ。